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【イケメン戦国】私と猫と

第28章 桜の咲く頃  四幕(十二歳)


「とにかく…寝た後に忍び込んでくるのは仕方ないとしても、風呂は止めろ」
「湖に言え」

くいっと酒を一口飲んだ謙信は、もう興味ないとばかりに佐助が持ってきた文を見る
先ほども読んだそれには、何度見てもやはり書いてあることに間違いはない

・全員で向かう事
・祝いの品を届ける事
・登竜桜と相談の上、記憶を戻す事

・謙信達を安土城へ招くこと、一緒に湖を連れてくる事

「しかし、確かに十五になれば元の湖と変わりないように見えるかも知れないが…気付く者は気付くだろう?十五と二十の娘ではやはり違うだろうに」
「…これに従う意味はない」
「…もし湖が望めばどうするつもりだ?」

(…湖さんは、どうするだろうか…ただ、桜様は中途半端な記憶の戻し方はしないと思うな…刻の乱れさえ無くなれば記憶は戻してくれるんだろうけど…おそらく十五では戻らないだろうな)

「殿、失礼致しまする」
「なんだ?」

スッと襖が開き、兼続が入ってくると

「実は…今川より…」
「…面倒な」

開かれ捨て置かれた文を佐助は畳み丁寧に置く
そこにはまだ記載がある

・白粉を信長に預けること
・湖を奉公として一月安土に置くこと

(歴史でも習ったな…信長様の過剰要求。拒否されることを想定して無理を要求し、徐々に緩和させたように見せて、実は自分の望む事はすべて合意させるやり方。なんなら、早いうちに要求がのまれれば、信長にとってはより良い状況だ。考えてみれば、現代においてあの外国はそうゆう手法で政治を動かしてたな…あぁ…織田信長が本能寺の変で亡くなっていなければ、現代の日本人の気質も変わっていたかも知れないな…)

自分と湖のいるこの世界では、信長は暗殺されずに生きている
もしかすると、この時間軸の未来の日本人は、自分の知る日本人とは異なる可能性があるな

そんな事を佐助は考えていれば、側にいた幸村がその文を取って
「あぁ…?!」とびりびりと文を破り捨ててしまった

「幸」
「あぁ・・?」
「俺に悪態突くのは違うと思う」
「…知ってる…」

がしがしと頭を掻く幸は、舌打ちして立ち上がった
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