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【イケメン戦国】私と猫と

第28章 桜の咲く頃  四幕(十二歳)


佐助の質問にこてんと首を傾げた湖は、えっと…と言いながら答え始めた

「んーかか様か、最近は女中さんが一緒に入ってくれるよ。最初はみんな着物着てたけど、湖だけ裸ん坊はやだったし、水遊びできないでしょ?それに、ととさまも幸も、もう駄目だっていうの…みんなは一緒に入るのに、湖は駄目ってずるいよね…」

そんな事情に佐助は安堵の息を吐く

(うん。大丈夫)

「でも、謙信さまは時々一緒に入ってくれるよー」

(…ではないな…ロリコン疑惑は信玄様ではなく、謙信様に掛けるべきだったのか…でも、いや…謙信様の事だから…)








「あれはまだ子どもだ。別に支障ない」

謙信に報告を伝えたついでに、風呂について聞けば面倒くさそうに返答される

「…はいはい…謙信様には、今の湖さんは幼女に見えるって事ですね」
「おい、謙信。湖は身体的には大人の仲間入りをしたんだ。風呂は止めろ」

そんな謙信に佐助は納得した様子を見せたが、一緒にいた信玄はぎょっとした表情をする
様子からして謙信が一緒に風呂に入ったのは知らなかったようだ
幸村は「あんた…っ」と絶句している

「…何を今更…鈴から湖に戻るので見慣れている事だろうが…信玄、お前の寝床にだって頻繁に行ってるだろう。あの娘は」
「来てる…それは否定しない。「見慣れている」についても否定はしないが…嫁入りもあり得る年の娘だぞ」
「湖を誰の嫁にするつもりだ。返答次第では、お前と対峙せねばならんが…」

明らかに二人とも眉間に刻まれる皺が増えてきている

「馬鹿言うな!あれを嫁に出すわけがないだろうがっ!比喩だ!そのくらいの年頃なんだから気をつかってやれと言ったんだ」
「…湖が嫌がることはしない」
「それは、俺だって一緒だ」
「…ならば、仕方あるまい」

謙信と信玄の言い合いを側でただ聞いていた佐助は「あーそういうことか」と小さく言った

「つまり、謙信様は風呂を拒否して湖さんに泣かれたくないという事ですか」
「……泣き方が変わらん…あれでは此処に来た三つとさほど変わりない」

むっとしながら答えた謙信に、信玄が目を見開く

「お前…湖が泣くから一緒に入ってるっていうのか?」
「そうなりますね」
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