第27章 桜の咲く頃 ひとやすみ(初恋の巻)
「あの…三成…くん?」
おずおずと、湖が再度名を呼ぶと
「っ、く…、し、っしばら・・く、おまち、を…っくく…ははっ」
表情は見せないが、誰がどう見ても三成が笑いを必死に押さえているのが解る
「湖様…あんな態度を取るから笑われておりますぞ」
それを兼続は、指さしが原因だと考えため息を漏らすが
理由は違う
確かに、指さしだが
それ自体を笑ったわけでは無いのだ
(あの時の信長様にむかって指をさされた湖様と同じ後ろ姿)
全く変わりの無い湖の姿が三成のわらいのつぼを突いたのだ
「う・・っ、気をつける…」
「そうなのか?」
それに、湖はしょげ
信玄は、違うだろう?と三成に眉をひそめる
「くくっ、はは・・・い、いいえ。湖様はそのままで…そのままで、十分可愛らしいですよ…く、ははは・・」
やっと顔を上げた三成の目には涙が貯まる
余程おかしかったのだろうと、十分に解るのだ
だが、それよりもその満面の笑みだ
三成の笑みと言えば、天使のような微笑み
それが印象深い
それが、今の表情は年相応、いやそれより若く見える青年の笑い顔なのだ
その笑い顔に、湖が頬を染める
笑われている羞恥
それと、違う笑みを見て胸が高鳴ったのもあるだろう
(これは…厄介な男だな…)
信玄は、そんな湖の様子に頭をかいたのだった
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まずは、三成編
桜の咲く頃
ようやく分岐?形式のを追加できました
いかがでしたでしょうか?
三成くんの大笑い
いつかどこかに入れてみたかったので、入れてみました
イメージ崩れていないかだけ心配ですが、少年、青年らしい笑みも見てみたいです
※「私と猫と」第22章 心から
こちらで、湖が信長様に向かって指をさして怒っています
その様子を思い出したという設定で書いております
一体どの姿と重ねたんだ?と思われた方は
P608、よかったら読んでみてくださいm(__)m