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【イケメン戦国】私と猫と

第26章 桜の咲く頃  三幕(九歳)


三成と佐助の会話を聞いていた政宗は

「なら、十八で止めてしまえばいい。湖の記憶が戻れば、それでいい」
「確かに…若いに超したことは御座いませ…いやっ、何を勝手な事を申すっ!伊達殿っ」
「お前だって今、賛同しただろう」
「何をっ?!某が、いつ…」
「今だ。しっかり声に出てたぞ」
「思っておらぬ」
「出てた」

斜め向かいで言い合いが始まる
そうこうしていれば…

「このまま迎えば、日が落ちる…昼前には着くぞ」

そう言い先頭にいた謙信が馬を駈けはじめる
佐助もまたそれに着いていった

兼続は、自分の前に丸まった白粉をそっと引き寄せると
落ちないように気をつけながら馬を走らせた

政宗と三成もまた離れないように馬を走らせる

そうしていけば、予定通り飯山城には昼前に到着するのだ

そして…こちらも想定通りの表情で、待ち構えた高梨

「お待ちしておりました」

荷車に酒壺を添え、今回はそのほかに干し柿に干しなつめなど果物も乗せてある

「昔、祖父が言っていたことを思い出しまして…桜様は、干し柿が好きだと」

十五の裳着の件
登竜桜に伝えるにあたって礼の品を高梨に考えさせてあった
今は毎月自分達を受け入れている登竜桜
だが、それまでは高梨の祖父以降、人間との縁を絶ったままだった
人に関わることを望まない神

本来、神も妖とはそのようなものなのだろう
そうで無ければ、これまで何度もそのような者に会っていてもおかしくない
だが、彼らのあった初めて会った
「妖」だと明かした白粉に、「神」だと名乗った登竜桜に

「謙信様…どうか丁重に願います。あの方の気分を害さないように…」
「解っている。心配なら、貴様も来い」
「っ…いえ。私は、そのっ」

慌てる高梨
その家臣に馬を預けた謙信は、他に声を掛けた

「行くぞ」
「はい」「はっ」

それぞれ馬を下り…

(白粉殿は…眠っていますか?…では失礼を…)

兼続は眠ったままの白粉は一時的に自分の懐に入れる
すると、猫の体温が自分の腹にほんのり熱を与えるのが解った
そのまま馬を下り、懐から取り出すと白粉の荷車に置く

『……ついたか?』

すると、今起きた様子の白粉が声をだしたのだ

「ひっ…」

いちいち驚く高梨を軽く睨むと、しゅるりと音を立てて人型にその姿を変える
その身にしっかり着物をまとった姿でだ
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