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【イケメン戦国】私と猫と

第26章 桜の咲く頃  三幕(九歳)


三成と政宗の元には、信長からの文が届いていた
湖の件は、光秀から報告が先に入っていたようだった
そして滞在を許可すること
十二の成長後、代わりに光秀が行くことが書かれていた

「光秀か…」
「そうですね…光秀様であれば、情報収集にたけております。今川と戦中とは言え、北条が近くにいる此処では…情報収集が何よりですね…」
「それなら、武田信玄が居るだろう」
「もちろん、武田様の三ツ者の情報収集。それに佐助殿の働きは素晴らしいです。ですが、光秀様も光秀様独自の情報をお持ちになる。念には念を…という事ではないでしょうか?」
「…だろうが…あいつを、湖の側に置くのは…」

政宗が懸念するのは、光秀の行動だ

(あいつが湖を大事にしている事は解っているが…以前の鈴を的にしたこと…あれが、どうにも消えない)

それは、発情期で鈴が表に出ていた時の事だ
謙信達を追い払うために、短銃で鈴を的にし脅したのだ

結果的には、湖に危害を加えたわけではない
だが、何かを得るために湖を差し出すような真似をするのだ

「心配…ですか?」

三成はそれを知らない
その場に居たわけではないし、政宗も報告していない事だ

「いや…大丈夫だ…」

歯切れの悪い返答
三成は、文を畳むと

「私は、秀吉様の政務を手伝う為帰らねばなりませんが…政宗様が大丈夫なのであれば、滞在を延ばしてはいかがですか?」
「…考えておく」




そして、その日から登竜桜の元へ行く日までは
ゆっくりと穏やかな時間が過ぎた

その朝だ
広間に集まった武将達の前で

「そ、某も…ですか?」
「あぁ。一度、登竜桜に会ってみるのもいいだろう」

いつも留守を任せていた兼続を今回は連れて行くという謙信

「では、俺が留守を預かろう」

その代わりに信玄と幸村が春日山城の留守を預かるというのだ
他にも武将はいるが、何かあった際柔軟に動くには信玄が要るに越したことは無い

「ととさま…行かないの?」
「あぁ。帰りを待ってるよ」

信玄の着物を掴んだ湖は、少し表情が冴えない

「湖、とびっきりの美人になった姿を楽しみにしておく」
「…もう、ととさま」
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