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【イケメン戦国】私と猫と

第26章 桜の咲く頃  三幕(九歳)


「鈴のことだって、見せちゃ駄目だってみんなに言われてるのに…なのに、湖の身体にこんな痕までつけたら…もっと変だって思われる」

話の序列も、内容も色々混ざっているようだが、それは湖の心内に思うことなのだ
落ち込む湖に謙信は、今度は深いため息をこぼした

「お前は……嫌なのか?」
「嫌…?鈴の事?嫌じゃ無いよ。鈴と一緒だと嬉しいの湖だもの…でも…」
「「それ」を止めろ」

「それ」が何を言うのか解らず、首を傾げれば

「お前は「でも」が多すぎる。自分が良いと思うものにもっと自信を持て。他者の言葉に流されすぎだ」
「でも…っ」

そう言った湖の唇に親指を当てると

「それを止めろと言っている」
「……」
「…絶対に…ではない。多すぎだと言っているんだ」

二人の横で信玄が苦笑した

「湖、謙信はな。いや、俺も皆もだ。湖のその体質を面倒には思っていない。少々やっかいだとは思うが、もう俺たちに取っては普通のことだ」

口を閉ざされたままの湖は返答できない

「だがな、珍しいのは確かなんだ。だから、他にはあまり見せるなと注意する。万一、やっかいな人間に見つかればその珍しさで攫われるかも知れないからな…」
「万一があっても、そのような事態にはさせない」

二人の大人にそう言われれば、頷くしか無い
謙信の親指が湖の口元から外れる

「だが、その痣は気に食わん…」
「おいおい、一体どれだけ痕がついてるんだ?」

そんな二人の様子に、湖は

「怒んないなら見せるけど…お約束してくれる?」

軽く頷く二人の頭を見て、足にかかる羽織をめくりあげると…

細く長い足が徐々に見え、そして膝上にさしかかると
その少し上から大人の手の平ほどの青あざが残っているのだ
これに二人は顔をしかめる
二人を見ずに、青あざを見ている湖は

「痛くないんだよ。でも、なんかすごい色でしょ?びっくりしちゃった」

とおどけるのだ

「きっとすぐには消えないから、桜さまのところに行ったときにお願いしようと思うの「なおしてください」って」

湖の指が青あざをなぞる
白い指が、変色した肌をなぞった
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