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観察日誌  リヴァイ・アッカーマン

第4章 四日目



 起きなかった。

朝、さすがにまずいと思い、仕方なく医者を呼んだ。
ただ寝ているだけで問題ないと一蹴。

「エルヴィン。」
「あぁ、リヴァイ。聞いたぞ、ウリエが目を覚まさないそうだな。」

やはり心配であるのか、机の上には仕事の資料と睡眠に関する物がごちゃ混ぜになっているように見えた。

議論をしても解決の糸口は見えず、エルヴィンのつてで貴族と繋がりのある者にそれとなく聞いて来てもらうことになった。

気にはなるが、まず自分の仕事を片付けることにする。



夜、朗報が届いた。
人形は指を鳴らせばたちまちに起きる。だ、そうだ。
早速試すと、眠り姫のように昏々と眠っていたのが嘘のように、パッと飛び起きた。

「お呼びですか。マスター。」

と台詞付きで。

人間、ここまで睡眠をコントロール出来るものなのだろうか。

次に頭を抱えたのが食事。
俺がわざわざ持って来てやったスープやパンに一切手を伸ばそうとしなかった。

「…食わねぇのか?」

そう、声をかけても動かない。
俺が飯を食い終わって、パンのかけらを払っているとパンとスープを手に持って突然俺の方まで歩いてきた。

「マスター。お腹がすきました。」

まるで3歳児のガキのように、俺に飯を食わせろというのだろうか。
仕方なくパンを小さくちぎって口元に運んでやると、雛のように口を開けもぐもぐと租借し始めた。

少し量を多めには持ってきたが、よほどお腹がすいていたのか、はたまた俺が手を止めるまで食い続ける気でいるのか、すべてぺろりと平らげてしまった。

「もういいだろう。風呂にでも……」

ここまで来ると次も何となく察しがついてしまった。

こいつは人形だ。

人形が自ら眠ったり、起きたり、飯を食ったりはしない。
だとすれば……

風呂もきっと自分からは入ったりはしないだろう。

「風呂は入った事はあるだろう。」
「はい。」
「入り方はわかるか?」
「…はい。」

少々間が空いた返事だったが、風呂に入ることを想像一通りできると確信した返事だった。

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