第20章 二十日目
夕刻、帰還。
急いていた訳ではないが、風呂の前に部屋を覗いてみようと思った。
部屋に入るといつもの通り、きちんと整理整頓されており、掃除もしてあった。
悩みの種だったウリエはというと、いつものイスに座って膝に本を乗せにっこりと笑顔だった。
「おかえりなさいませ、リヴァイ様。」
静かにそう言っただけだった。
「あぁ、俺は風呂に行ってくる。まだやらなきゃならん事もある、夕食までには戻ろう。」
「はい。いってらっしゃいませ、リヴァイ様。」
ホッとした?
こいつが笑顔で、いつものように椅子に座っていた事に俺がホッとしただと?
調子が狂う。
夕食は部屋でゆっくりとろうと決めた。
特に話しなんかしない。
こいつと世間話をするつもりはないし、俺はただこいつを真っ当な人間として更生させるだけだ。
彼女は夕食後もまた熱心に本を読んでいた。
読んでいたのはハンジの本ではなく、別の本のようだった。
「資料室から借りてきたのか。」
「はい。」
俺と会話する時は終始笑顔だった。
喜んでいるのか?
今日はもう疲れた。
明日は非番だ。
・・・