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観察日誌  リヴァイ・アッカーマン

第11章 十一日目




壁外調査の日にちが決まった。3週間後だ。

こいつをどうするかを忘れていた。

会議の後、軽く班員で動きを確認するべく演習場へ行った。
ペトラがたまには外に連れ出してやれと言うので、仕方なく彼女も連れて行った。

かわらず視線は俺の方にしか向いていなかったが、立体起動装置やアンカーを撃って宙へ舞う動作。
酷く気になるようで、今までにないくらい熱心に見ていた。

「ウリエちゃん。これ、気になる?」
「はい。」
「兵長。これ、ウリエちゃんに付けてあげてもいいですか?」
「勝手にしろ。」

奴らと一緒にいるとあいつは手が掛からなくていい。
俺が心配せずとも他の奴らが世話を焼く。

立体起動装置を付けてもらった奴は、わずかだがほほ笑んだ。
俺以外に笑ったのは初めてだ。

「じゃぁ、ちょっと浮いてみようか!」

ペトラが適当な所にアンカーを撃ってやり、ゆっくりとウリエの体を上昇させ始めた。

「平気?」
「……。」

しゃべる余裕もないのだろう。
つま先がつくかつかないかの所。
班員が揃って二人を見ている。
俺が手を出さなくとも誰かがあいつを助けるだろう。

「すごいすごい!初めてなのに制止したよ!兵長!」

一層の盛り上がりを見せた塊に視線を向けると、おっかなびっくりだったが。
確実に地面から足を放し、見事に立体起動でバランスをとっている彼女がいた。

「ほう。」
「兵長、これは逸材ですよ。」

口々にウリエの事を褒める班員たち。
彼女もほんの少しではあるが楽しそうにしている気がした。

「遊びにすぎん。たまたま出来たまでだ。おら、続きだ!」
「はい!」

彼女は飽きもせず、延々と繰り返される訓練を疲れきるまで見つめていた。
夕食の時には既に眠たそうにしていた。

部屋に戻ってから、寝ろ。と言ったすぐ後にはそろりとベッドにもぐりこみ、すぐに寝息を立てていた。

今日は感情の変化が多少見られた気がする。

自分で興味を持つものがあればいい。




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