第142章 百四十二日目
昨夜、ペトラの所に泊まっていたがしっかりと仕事には行っていたようだ。
仕事をさぼる事は無いだろう。
あいつは真面目だ。
夕食の時、また食堂に何かの包みを持って現れた。
「あの…リヴァイさん。」
「…なんだそれは。」
今回は抱えるほど大きな箱。
「誰に貰った。」
「レオネ・デックと言う方です。駐屯兵団所属だと聞きました。」
今回はしっかりと名前と所属を聞いてきたようだった。
きちんとお礼を返すつもりで聞いてきたのだろう。
食事の後にそのまま食堂でそれを開けてみろと言った。
ウリエの事だ。
綺麗に包装されている包みを一度も破ることなく綺麗に開ける。
中から出て来たのは高そうな馬具。
「『美しい貴女へ、馬がお好きなのですね。愛馬のためにお使いください。レオネ・デックより愛を込めて』」
容赦なく中に同封されていた手紙を音読していた。
周りに居た部下たちが、クスクスと笑う。
これを書いた奴はこんなところで堂々と音読されるとは思ってもいないだろう。
「リヴァイさん、どうしたらいいでしょうか。」
前の贈り物とは違い、こちらには少々興味があるようだ。
「使いたければ使えばいい。ただ、礼はしに行くな。必要ない。」
「は、はい……?」
なぜ?と疑問を口にしたのは部屋に戻ってノートを書いている時だった。
彼女なりに考えていたのだろう。
「なぜ、知らない男性からの贈り物にはお礼は必要ないのでしょうか?」
ペトラはこいつに何を教えたのだろう。
そこから聞くべきか?
「下心があるかないかの差だろう。」
「下心?」
「ペトラから聞かなかったのか?」
男は皆、美しい女が好きでいつでもそれを手に入れる手段しか考えていない生き物だと。
「では、リヴァイさんもそうなのですか?」
この質問に俺は答えられなかった。
確かにウリエは俺が贔屓目で見ても美しいと思う。
しかし、手に入れる?とは少し違うように思える。
俺はその問いに対する答えを考えるとウリエに言い、今日は寝ることにする。
鬱陶しいとは違う。
やはり焦燥感。
・・・