万事屋よ永遠なれ・・・・私は存在し続けるけど? 銀魂
第5章 いや・・・・・その名前は・・・・・
「新八さん!ごろつきにからまれたと聞きましたが・・・・・大丈夫ですか!?」
その顔は明らかに、というか大人びた瑠維だった。
――――――うっそだろォォ!?めっさ人妻っぽいじゃねーか!
――――――うわァァ!!嫌だァァァ!!こんな私嫌だァ!!
銀時は・・・・・まぁ、かつては惚れていた女であるから、若干頬を赤らめていた。一方、自分の将来の姿を見た瑠維は顔が死んでいた。
「すまない。心配をかけてしまったな」
「いいえ。新八さんがご無事ならそれでいいんです」
キレている瑠維を銀時はなんとか止める。
それにしても・・・・・と銀時は思う。
それにしても、やっぱり普通の女はこういうもんなんだろう。今の瑠維が異常なだけであって・・・・・
そう思っていたのが瑠維にはばれていたようで、不機嫌な顔をした瑠維に睨まれる羽目となった。
「人妻だな・・・・」
『私は何が何でも、新八君だけはいやよ。それなら結婚しなくていい』
「俺は?」
『・・・・・』
死んでんじゃん、という瑠維の言葉によって現実に引き戻される。
「昔はあの子もあんなにおしとやかじゃなかったんだけどねぇ」
そのお登勢の一言に瑠維と銀時は大きく心の中で頷いた。
「真選組一の剣格でね。銀時とよく似たじゃじゃ馬娘だったんだよ。おまけに真選組の副長と付き合っててね、傍から見れば、美男美女カップルだった」
瑠維は嬉しそうにしていたが、記憶を失った自分を見て、悲しそうな表情に変わる。
瑠維は小さく、消え入りそうな声で呟いた。
『思いだした方が・・・・・いいと思います。わ・・・・・瑠維さんはずっと、土方さんのことが好きだったし・・・・彼と暮らすことを・・・・・瑠維さんは望んでいると思います』
そうだねぇ、とお登勢は紫煙を吐き出す。
「でも、土方が断ったんだよ。こんな世界に巻き込むより、女として幸せになるのがアイツにとって一番いいってね。いい男だよ。アイツは・・・・・」
銀時は瑠維を見た。瑠維の瞳からは、一すじ、涙が零れおちた。
「・・・・・・大丈夫か?」
『ん・・・・・・ちょっと』
そう言うと、瑠維は店から出て行った。