万事屋よ永遠なれ・・・・私は存在し続けるけど? 銀魂
第5章 いや・・・・・その名前は・・・・・
『遺品・・・・・』
呟いて、瑠維は新八の腰にある木刀と、神楽のチャイナドレスのすそを見る。ドレスの裾の柄は、銀時の着物と同じものだった。
「たく、目的は一緒なんだから仲良くやりゃいいのに、意地っ張りなとこまで野郎に似ちまってさ」
いや、いやいや、と銀時は内心呆れる。
―――――万事屋の跡継ぎ?
―――――そんなもん、モメる価値もねーっつーの!
しゃあねえ、とばかりに銀時は席を立つ。
瑠維はというと、新八と結婚したことが信じられないのか、未だ放心状態。
銀時は一升瓶片手に、新八に近づいていく。尻拭いは「先代」が、ということだろう。
「あのう、新八さんさ、よくわかんないけど、ケンカはよくないよ」
銀時は丸腰で新八の御酌をする。
「銀さんの跡を継ぐったって、そんなもん借金ぐらいしか引き継げないよ。そんなことより銀さんが望んでんのは・・・・」
だが、その言葉は最後まで紡げなかった。
新八に胸倉を掴まれたのだ。
「引っこんでろ。貴様が銀さんの何を知ってるというんだ」
「し」
――――――知ってるも何も私が銀さんですが!?
銀時はなんとか言葉を飲み込み、心の中でサイレントツッコミをする。
「僕にはもう仲間なんて必要ない。俺には妻がいる。それだけで十分だ」
―――――――お・・・・お前が私のことを妻なんて呼ぶなァァァ!!
と、瑠維は新八の一言にサイレントツッコミを入れる。
「フン、人の女横取りしといて、よくもまあ妻だなんて言えるわね」
頬杖をついた神楽がアンニュイな口調で続ける。
「少なくとも、瑠維はあんたなんかより、あのマヨラーと一緒に居ることを望んだと思うけど?」
―――――その通り!新八君なら、銀時や総悟でも可!てか、トシがいい!!
瑠維の悲痛の叫びは銀時によって止められる。
「ま・・・・・それには俺も神楽ちゃんの意見に賛成かな?うん」
『それ!私もそう思う!!』
「・・・・・・・・(お前の意見は万物正解だろ)」
銀時は黙っていたが、瑠維には通じたようだ。
すると、突然、店の引き戸が音を立てて開いた。
「新八さん!!」
中に入ってきたのは、群青色の髪を横で結び、うっすらと化粧をしている美女だった。そして銀時と瑠維にとっては、間違えようもない顔だった。