第2章 親しみと違和感
「……失礼だったらごめんなさい、西谷さんっておいくつですか…?」
「…えーと、いくつくらいに見えますか?」
「……十代、かなと…。」
「……………これでも二十歳は越えてるんスけど…。」
「えっ!!そ、それはすみません…!!」
「…や、まぁ、童顔なのは間違いないし……でも龍と力は同い年で、翔陽と影山と月島と山口は俺より年下ですからね?」
………なかなか驚きな話でパンを持っていた手が止まる。
「………え、西谷さんより月島さん達の方が年下なんですか…?」
見えない。西谷さんが上にも、月島さん達のが下にも、見えない。
「…………。」
「…………。」
「……あ、あの、」
「………大丈夫です!!こんくらいでヘコみませんから!」
「そうそう、西谷は心強いんで平気ですよ。」
キッチンの方から出て来た縁下さんがそう言う。
あ、でも…と私のそばに来た縁下さんは西谷さんには聞こえないようにこっそりと耳打ちをしてきた。
「チビだけは禁句なんで、気を付けてください。…まぁ、女の人に怒ることは無いかなと思いますけど。」
「わ、分かりました、気を付けます。」
「ん?何話してるんだよ、力。」
「いや、何も?…あ、で西谷。洗い物やってくんない?下拵えをある程度やっときたいからさ。」
「ん、分かった!じゃあ天崎さん、後でまた食器下げに来るんでゆっくり食べててください!」
そうして西谷さんと縁下さんがキッチンへ入って行って………ぽつりと呟く。
「…………西谷さんって嵐みたいだなぁ。」