第2章 親しみと違和感
そうして部屋を出て歩き出し、菅原さんがスッと籠を持ってくれた。
「あ、ありがとうございます。」
「いえいえ、女の人に持たせて俺が手ぶらなんて駄目ですから。」
そんな風に冗談めかして言うから、思わずクスリと笑う。
菅原さんはそんな私を見て優しい笑みを浮かべた。
「…良かった、笑ってくれて。」
「え?」
「昨日は緊張したような固い表情してたから。」
「そ、そう……だったかもしれないですね…。」
「大丈夫、少し時間はかかるだろうけど道路はちゃんと復旧されますよ。だから笑顔でいましょう、ね?」
ニッと歯を見せた笑顔を向けられて、何となく心が軽くなる。
「…そうですね。うん、ありがとうございます、菅原さん。どうしようって悩んだって仕方ないですもんね。」
「そうそう。…天崎さんは笑顔が似合います。」
「えっ!」
「あ、ここがランドリールームですよ。」
「え、あ、えーと………あ、ありがとうございます…。」
……び、びっくりした…。
あんなにサラッと笑顔が似合うとかって言われるとは…。
私は少し胸がドキドキしているのを感じながら菅原さんがドアを開けてくれた部屋へと入った。