第13章 真実
目を覚ました男の子に、私は思わずいろんな事を話しかけた。
何歳なのか、どこから来たのか、名前は何ていうのか。
ユリア「・・・マーレはしばらく、答えてはくれなかった。」
エレン「・・・警戒してたんですか?」
ユリア「いいえ。マーレは喋れなかったの。」
エレン「!」
ユリア「栄養失調が主な原因だって聞いたわ。それに、相当なストレスもあっただろうって。」
マーレを拾って1週間が経って、マーレは初めて声を出したわ。
“ころさないの?”
初めての言葉がそれだった。
私は、何を言ってるのか分からなくて、何でそんな事言うの?って返したの。
“だって、にげてきたから。”
3歳の私には理解が出来なくて、周りを見渡したの。そしたら、誰もが泣いてた。母親なんて、地面に崩れ落ちたのよ。
父親は、マーレに何歳なのか、どこから逃げてきたのか聞いてたわ。マーレは、その質問にわからないと答えたの。気付いたら、ここで寝てたって。
私は、マーレに話しかけた。
“私の名前はユリア!貴方は?”
そう聞いたら、父親が慌てて私の口を塞いだの。今だからわかるけど、年齢も分からない子に名前があるとは大人には思えなかったんでしょうね。そんなの分かりっこなかった私は聞いちゃったのよ。
“・・・周りは、11って呼んでた。”
エレン「・・・まさ、か・・。」
リヴァイ「・・・東洋人は通常の人間より高く売れる。子供となると、余計にな。」
ユリア「父は、マーレを子供として受け入れる事にしたの。母も同意して、私も兄妹が出来るって嬉しかった。」
ユリア「ねぇ!これから一緒に暮らすんだもの!貴方の事、何て呼んだらいい?」
「・・・君が決めて。俺の、名前。」
マーレが真剣な表情で言うから、私もジッとマーレを見て、思ったの。綺麗な青い色の目だなって。
ユリア「・・・マーレ。貴方の名前は、マーレ!」
マーレ「・・・マー、レ・・。」
ユリア「マーレ!マーレは私のお兄ちゃんね!」
マーレ「・・分かった。」
そう言ってマーレは初めて微笑んでくれた。