第12章 異端審問
ユリアからぶわりと殺気が広がった。
ユリア「ねぇ・・・誰が投げたの・・・。」
誰もが怯えて言葉を発さない。
リヴァイ「ユリア。」
リヴァイが声を発すると、殺気が沈んだ。
ユリアは、リヴァイの方を見る。
リヴァイ「悪くねぇ。・・・だが、落ち着け。」
あぁ、彼は、変わらない。
ユリアの頬を濡らす水滴。
マーレ「・・・総帥。」
ダリス「なんだ、マーレ。」
マーレ「ユリアは、貴方からエレン・イェーガーの監視役を頼まれています。彼女は、エレンと共に行動させるべきであると考えます。」
ダリス「・・・エレン・イェーガーが、憲兵団に渡される事になっていてもか。」
マーレ「はい。」
マーレは、真っ直ぐにダリスを見る。
ダリス「・・・良かろう。ユリア・キールはこの審問の対象外とする。これよりユリア・キールは、エレン・イェーガーの監視役に戻る事とする。」
ユリア「・・・マー・・レ・・?」
マーレは自身を拘束していた鎖を壊し、ユリアを抱き抱えた。
マーレ「ですが、今は負傷中の身。彼に預けさせて頂きます。」
マーレはそのままツカツカとリヴァイに歩み寄り、ユリアを渡す。
リヴァイ「・・お前・・・。」
マーレ「・・・ユリアを止めるのは、もう俺じゃない。」
ダリス「・・・マーレ。お前はどうする。」
マーレ「どこへ行っても、俺は自由にはなれない。そうでしょう?」
エレン「マーレさん・・・?」
マーレ「囮にでも実験体にでも何にでもなってやる。・・・お前らが何をしようと、俺の意志は揺るがない。こいつ等を殺そうとするなら、俺はお前たちを殺す。」
マーレはエレン、アルミン、ミカサの前に立ち、そう言い放った。
マーレ「人類の歴史は変わる。善にも悪にも。変える事が出来るのはこいつらみたいな、若い奴らだ。・・・若芽を摘むなよ。」
ダリス「・・・調査兵団の提案は、聞かずに良いのだな?」
マーレ「いい。今の調査兵団に何を言っても反論するのだろう。」
マーレの考えは図星だったようで、審議所内が静まり返る。