第12章 異端審問
アルミンは冷や汗をかいていた。
その報告書を提出したのは、間違いなく僕とライナー・・・。他の目撃者は死んでしまっている。
総帥からの質問に、マーレがどう答えるのかをじっと見守っていた。
マーレ「・・・以前から、人間以外の物と会話が出来た。リス、ウサギ、クマ・・閉じ込められていた間は動物たちと会話をする事で自我を保っていたと言っても過言ではないだろう。・・・今回、壁外に出て初めて巨人に話しかけた。5年前の時はそんな事を考え付きすらしなかったからな。・・もしやと思っていた考えは、現実になった。あいつらの考えなんてわかりやしなかったが、俺の指示に従った。それが現実だ。」
ダリス「・・・ユリア・キール。その事について、お前は知っていたか。」
ユリア「・・・動物と話せるのは知ってたわ。でも、巨人と話せるなんて知らなかったわよ。」
「ウソだ!!そいつらは兄妹だ!!兄を庇ってるに違いない!!」
傍聴席からそんな野次が飛んできた。
ユリアはそれらを無視していた。
ダリス「・・・では、それぞれの兵団から提案を聞こうか。」
駐屯兵「我々駐屯兵団は、ユリア・キールを壁の修理などで巨人を誘き寄せ、巨人による作業の遅れを出さない事を提案します。マーレ・キールの能力が本物であるなら、その能力を駆使して壁の補強に利用したいと考えています。・・・以上です。」
憲兵「憲兵団からの提案です。ユリア・キールは王都で監視をしつつ、緊急時に前線に出て巨人と闘う事を提案させて頂きます。マーレ・キールは研究対象とし、研究が完成した際には速やかに処分すべきでしょう。以上です。」
「その者たちの自由を奪う事は許されていない!!!」
傍聴席からそのような声が飛んできた。
ユリアはハッとしてそちらを見る。
声を出したのは、ウォール教の人物であった。
ニック「その者たちの自由を奪ってはならん!!マリア様の愛したその双子の自由を奪えば、その者達の自由も奪われるぞ。」
マーレはただ、何も言わずにジッとしている。