第12章 異端審問
前方から憲兵団に連れられてくるユリアが見えた。
ユリア「・・・マーレ。」
ユリアは左足を骨折していた。左腕も骨折こそしてはいなかったものの、しばらくは動かさないように医者から言われていると聞いた。
ユリアは車いすに乗り、憲兵団の連中に押されていた。
マーレ「・・・痛くはないか。」
ユリア「うん。痛み止めが効いてる。」
俺の方は大したケガをしていなかったので、両腕を拘束されていた。
憲兵「・・・入れ。」
ギィ・・・と重く開かれた扉の向こうは、審議所であった。
ダリス「・・・それでは、ユリア・キール、マーレ・キールへの異端審問を始める。尚、前回のエレン・イェーガー同様、この異端審問には法が効かん。よって、判断は私が下そう。」
以前のエレン・イェーガーへの異端審問とは場所が違い、調査兵団、憲兵団、駐屯兵団の人々が並んでいた。傍聴席にも多くの人間が座っていた。
ダリス「今回の壁外調査、2カ月ほど前のウォール・ローゼが破壊された件の報告書を基に話を進める。」
調査兵団の方をちらりと見れば、エルヴィン、リヴァイ、ハンジは勿論のこと、エレンやミカサ、アルミン達もいた。
ダリス「まずユリア・キール。お前は以前の壁が破壊された際、巨人の討伐数は40との事だが・・・間違いはないか?」
ユリア「・・・私、報告書なんて出したかしら?」
ダリス「お前の目撃者がそう報告している。」
ユリア「・・・覚えてないわ。そんな前の事。」
ダリス「そうか。・・・今回の壁外調査では、お前はエレン・イェーガーの監視役として参加したと聞いているが間違いないな?」
ユリア「・・・?」
ダリス「討伐数、50。お前の事だ。数えてなんぞいないのだろう。・・・この間、エレン・イェーガーはどうしていた。」
ユリア「・・・リヴァイと合流するために立体機動装置を使用していたけれど。」
ダリス「なるほど。・・・次に、マーレ・キール。」
マーレ「・・・。」
ダリス「報告書に、妙な事が書いてあった。巨人と会話し、巨人がお前の言う事に従った。・・・どういう事か説明してもらおうか。」