第11章 壁外調査
ユリアは立体機動装置を付けずに、馬に座ったまま、ボーッと風景を見ていた。
マーレは未だに目を覚ます気配はないらしい。ここに来るまではエルヴィンが抱き抱えたまま馬で走っていたと聞いた。
ユリア「・・・エルヴィンに、お礼は言わなきゃな・・。」
けれど、今の彼女にはそれが出来ない。左足が動かないため、自分の足で歩いて行く事も出来ず、左腕も動かないために馬を従えて乗って行く事さえ出来ないのだ。
リラがいればまた別だったのだが、リラは今ここにはいない。近づいてくる巨人がいれば喰い殺すように指示したからである。
ユリアをこの馬に乗せてここまでやってきた人物は今近くにおらず、ユリアはボーッとするしかなかった。
「あ、の・・・ユリアさん・・。」
そんなユリアに声をかけた人がいた。
ユリアが目を下に向けると、そこにはアルミンとジャンがいた。
アルミン「・・・あの、怪我・・・。」
ユリア「平気。利き手は動くもの。・・・マーレなら、団長のところで眠ってるはずよ。」
アルミン「・・・すみません。僕は、マーレさんを助ける所か足手まといでしか、ありませんでした・・。」
ユリア「いいの。生きてて良かったわ。」
アルミンの頭を撫でようとしたユリアは、バランスを崩して馬から落ちた。
アルミン「ユリアさんっ!」
しかし、地面に落ちる事なく誰かに抱き抱えられた。
ジャン「・・・大丈夫、ですか?」
ユリア「・・・ありがと。助かった。」
アルミン「大丈夫ですかユリアさん!?何処か痛いとことか・・・!」
ユリア「アルミン、平気。この子が支えてくれたから。」
そう言ってアルミンの頭を撫でるユリア。
アルミン「わっ・・・えっと、その人は、ジャンです。ジャン・キルシュタイン。僕たちの同期です。」
ユリア「・・・そう。私ユリア・キール。好きなように呼んで。」
ジャン「は、はいっ!!」