第11章 壁外調査
スタンッとリヴァイはエルヴィンの元へ、ユリアは女型の足元へ着地した。
「!ユリアさん!近すぎです!!」
ユリアが女型を見上げると、女型は目を見開いた。
ユリア「やぁ。マーレはどこ???」
にこりと笑って言うユリア。
女型はユリアと目を合わせるだけで何も言わない。
ユリア「あぁ、何も言わなくていいよ。その状態で何かを言われても私には理解が出来ないからね。調査兵団の人達がうなじを削いで、貴方の中身が出た時にもう一度聞く。」
近くにいた兵士は、ユリアに近寄れなかった。
優しい声で笑って女型に話しかけているのに、ユリアの目は笑ってなんかいなかった。殺気はだだ漏れで、腰を抜かしている兵士もいた。
ユリア「何人死んだかしら。私の目で確認したのは5人。右翼索敵が壊滅って聞いたから、もっと死んでるね。」
エルヴィン「ユリア!下がってくれ。そこにいられては撃てない。」
ユリア「・・・あぁ、気が利かなくてごめんね。」
ユリアは立体機動で女型の顔が見える枝に飛んだ。
そして座って足をブラブラとさせる。
ジッ・・・と女型を見据えてユリアは呟く。
ユリア「・・・本能ほど、怖いものはない。」
生きたいと願う本能ほど、予測の出来ない物はない。
リヴァイが女型に何かを話したその時だった。
女型は口を開き、大声で叫んだ。悲鳴に近かったそれは、耳を塞いでも大きいと感じるほどだった。
全員が耳を塞いでいる中、ユリアだけは目を見開いて枝の上に立ち上がった。
ユリア「マーレ・・・!!!マーレッ!!!!」
口を開けた際、マーレと思われる黒い頭の一部が、ユリアには見えたのだ。
叫び声が聞こえなくなり、ユリアは女型の足元へ再度降り立つ。
「ユリアさんっ!!!」
ユリア「・・て・・・。」
徐々に近づいてくる何かの足音。
ユリア「マーレを返して。」
顔を上げたユリアの表情は、無表情であった。
先ほどよりも殺気が溢れ出ていた。