第9章 不安
目を覚ますと、誰もいなかった。
窓からは日光が差し込んでいて、眩しかった。
マーレ「・・・。」
むくりと起き上がって、下を見る。
エレン達よりもはるかに細い自分の手足。自分の腕に繋がっていた錠は、眠っている間に誰かが壊したのだろう。痕が残っているだけだった。
以前目覚めた時はつい動揺してしまって、調査兵団の人達には申し訳ない事をしてしまった・・・。謝らなければならないな。
あのままリヴァイ兵士長が来なかったら、ハンジ分隊長にケガさせるところだった。
外を見ていると、部屋の扉がノックされ、人が入って来た。
「・・・この前のようにはならないのか。」
マーレ「・・・動揺しました。貴方が来なければ怪我をさせてたかもしれません。リヴァイ兵士長。」
リヴァイ「・・・リヴァイでいい。」
スッとベッドの近くの椅子に腰を下ろしたリヴァイ。
リヴァイ「他の人間が入ってきても前の用にはならないな?」
マーレ「今回のように目覚めていれば。寝ている間に入られたという事実が、自分の頭を困惑させます。」
リヴァイ「憲兵団では薬で無理やり眠らされてたらしいな。」
マーレ「・・・一時眠らずにいたら、このままでは死んでしまうからと言ってそれ以降投与され続けました。」
リヴァイ「その反動で深く眠りにつき、目が覚めたらあのクソメガネがいて動揺した、と。・・・目覚めて最初に目にしたのがあのクソメガネじゃ、動揺しないわけもないがな。」
マーレ「すみませんでした。ご迷惑でしかないですよね。」
リヴァイ「問題ない。貴族共からの貢ぎ物でむしろ助かっている。」
マーレ「・・・ユリア、ですね。」
リヴァイ「お前宛もあるぞ。」
マーレ「・・・手紙は内容が怖いので捨てて下さい。」
リヴァイ「1枚読んでクソな内容だったからとっくに捨てた。」
マーレ「ありがとう、ございます・・。」
驚いた顔をするマーレ。
リヴァイ「お前はさっさと4年前の最盛期まで体調を戻せ。」
マーレ「戦えますよ?」
リヴァイ「その掴まれた瞬間折れそうな手足でか?」
マーレ「掴まれなきゃいいだけです。飛び回ったり馬に乗るくらいこんな身体だって数十分程度出来ますよ。」
リヴァイ「それを普通の人間は出来るとは言わねぇ。」