第9章 不安
リヴァイ「・・・まだこの部屋にいやがったのか。」
キィ・・・と扉の開く音がした。
ユリア「マーレといれなかった分、いたいのよ。」
リヴァイ「エレンはとっくに寝ている。どうやってここまで来た。」
ユリア「立体機動装置で。・・・歩けない事もないんだけどね?」
リヴァイ「ほぅ。クソメガネの目は節穴だったのか。」
ユリア「床に血が垂れ落ちるし、痛いし時間かかるからやめたわ。」
リヴァイ「それを歩けるとは普通の人間は言わねぇんだよ。」
ペシッとユリアの頭を叩いたリヴァイ。
ユリア「いたっ!・・・馬に乗って出かけたり立体機動装置で飛び回るくらいなら平気。」
リヴァイ「・・・次の壁外調査の事言ってやがんのか、お前。」
ユリア「マーレ助けてもらったもの。それくらいやってやるわ。」
リヴァイ「一人で出歩く事も出来ねぇのにか。」
ユリア「足手まといになんてならないわ。囮にでも使えばいい。ここでの兵士は、そういう物でしょう。」
リヴァイ「・・・!」
ユリア「人類の未来と調査兵団全員の命。天秤をかけられたらあの人は迷わず前者を取るわよ。そういう人間でしょう?彼。」
リヴァイ「・・・。」
ユリア「私、頭は悪いけれど、そういう腹の中探り合いみたいなのは得意よ。」
リヴァイ「だろうな。でなきゃあの頭の固い貴族共が貢物なんてしねぇ。」
ユリア「でも、貴方にはあらかじめ言っておくわ。私は、他の人類がどうなろうともマーレを優先する。」
リヴァイ「・・・。」
ユリア「マーレは殺させやしない。守れたらエレンくんも守るけどね。」
リヴァイ「俺がそれを使ってお前らを調査兵団に取り込もうと考えるとは思わなかったのか。」
ユリア「考えないわけないでしょう。だから言ったでしょ?マーレに手を出す事は許さない。」
そこで何かに気付いたリヴァイ。
リヴァイ「・・・お前、この前の怪我した憲兵は・・マーレに暴行をした憲兵だったのか?」
フッと笑うユリア。
ユリア「当たり前でしょ。殺したかったけど、それじゃあ後悔させれない。死んだ方がマシだと思うくらいのケガはさせてきたわ。」
リヴァイ「・・・ハッ。とんだ化け物だな、お前。」