第8章 救出
ユリアはペトラを抱えてベランダを飛び降りた。
他のパーティー客に迷惑がかからない事を優先したのだ。
ペトラを降ろし、手を繋いだまま中庭を駆け抜ける。
その道中も銃弾が飛んできた。
ペトラにもユリアにも当たる事なく、中庭を抜け出し、別館へと滑り込んだ。
ユリア「あー・・・ほんとヤダ。」
ペトラ「ユリアさん・・・?」
ユリア「頭ではわかってるのに、何でこうなっちゃうかな・・・。」
ペトラ「・・まさか・・・。」
ユリア「ごめん。罠にかかった。」
扉に背を向け、ジッと2階を見やるユリア。
ペトラもその視線を追いかけると、2階にずらりと並ぶ憲兵団。
憲兵1「この館に逃げ場などないぞ。ユリア・キール!」
ユリア「逃げ場は自分で作るものだって、訓練兵時代に習わなかったのかしら?」
ユリアはどこからかナイフを取り出すと、一部の憲兵に投げつけ、ペトラの腕を掴んで1階の廊下に駆けこむ。
憲兵1「チッ!絶対に逃がすな!!!ここで逃がしたらお前たちの命はないと思え!!」
ダイニングに逃げ込んだ二人。
ユリア「・・・ペトラ、窓から出よう。」
ペトラ「!わかりました・・・!」
ペトラが窓を開けた時だった。
パァンパァンッと銃声が聞こえたのだ。
ペトラがユリアの方を見ると、ユリアの肩から血が流れだした。
ペトラ「ユリアさんっ!」
憲兵3「逃がねぇって言ってんだろ・・・!」
扉を蹴破って入って来た憲兵。
ユリア「・・・私一人殺すのに何人必要なわけ?」
ユリアはペトラを自身の後ろに隠しながら憲兵に話しかける。
憲兵3「化け物殺しだ。何人いたって足りないだろうよ。」
ユリア「・・・まぁいいわ。」
ストンッとユリアの投げたナイフが憲兵の右肩に突き刺さる。
ユリア「何人来ようと同じ事だもの。」