第8章 救出
ユリア「こうやって見世物になって・・憲兵団への支援をお願いする。それがいつものパターンだった。」
ペトラ「!」
ユリア「もちろん、ずっと同じ人に同じ憲兵団に支援金お願いしたら勘付かれるかもと思って駐屯兵団とかにもたまに支援金お願いしてたのよ。・・・でも、それも今日で終わり。」
ググッと伸びをするユリア。
ユリア「こんなの、もうやらなくていいと思うと清々するわ。」
ペトラ「・・・そうですね。」
「ユリア様っ!!」
声を掛けられたユリア。くるりとそちらを向くと、金髪の見覚えのある顔だちの、ドレスを着た“女性”がいた。
ユリア「・・・アルミンくん?」
アルミン「あ、あんまりその名前で今は呼ばれたくは・・・。」
少し恥ずかし気なアルミン。
ユリア「よく入って来れたね・・・?」
アルミン「ジャンが、機転を利かせてくれてね。・・・女装なんて、もう二度としない。」
ユリア「でも似合ってるよ?」
アルミン「・・ありがとうございます・・。・・じゃなくて!大変なんです。今すぐ此処から逃げて下さい!」
ユリア「・・・どうやらちょっと遅かったみたいよ。」
アルミン「・・・え?」
突然ユリアがアルミンとペトラの頭を掴み、しゃがませる。
すると、先ほどまで頭のあった場所を銃弾が通過して行った。
アルミン「・・・!」
ユリア「アルミンくん、すぐに会場に戻って着替えて外の調査兵団と合流しなさい。ペトラ、悪いけどしばらく私と一緒に逃げ回って。」
アルミン「わかりました!」
ペトラ「了解です。」
アルミンは会場に戻って行き、ペトラは靴を脱いだ。
ユリア「・・・思いのほか釣れちゃったみたいね。」
ペトラ「あの・・・何の罠を?」
ユリア「手紙よ。」
ペトラ「手紙?」
ユリア「このパーティーの開催者に参加するという手紙を2週間前に送り付けただけ。・・・主催者が話し回ってくれたら憲兵団も聞きつけるだろうと思ってね。思った以上に釣れちゃったわ。」