第8章 救出
エレンは動物たちに構う事なく、ベッドの傍まで歩いていく。
そんなエレンを警戒しつつも、動く気配のない動物たち。
エレン「・・・マーレ・・さん?」
かかっていたカーテンをめくると、動物ではない塊は、人間だった。
男性か女性かもわからないほど髪は伸び、肌はとても白かった。
左手首には錠がかけられ、その反対側はベッドにかけられていた。
自分の知っていたマーレさんは、こんなにも細かっただろうか?四肢は今にも折れそうなほど細く、服もブカブカだ。
エレン「マーレさん・・・!マーレさん!」
エレンの声に、ゆっくりと目を開いたマーレ。
マーレ「・・・。」
エレン「マーレさん、分かりますか?俺です。エレン・イェーガーです!」
そうエレンがマーレに伝えると、マーレはしっかりと意識を浮上させたようだ。
マーレ「エ、レン・・・?何でここに・・・!ゲホッ!」
マーレは驚いて咳き込み、血を吐いた。
エレン「!マーレさん!!」
マーレ「・・へ、いき。少し、驚いただけ・・・。」
エレン「でも・・・!血吐いて・・・!!」
リヴァイ「どけ、エレン。」
エレンを引っ張り剥がすと、リヴァイは刃をマーレに向ける。
エレン「兵長!?何を・・・!!」
リヴァイ「今すぐ選べ。ここを出て俺達と来るか、それとも此処に残るか。」
マーレ「・・じゃあ、置いていけ。」
エレン「マーレさん!?」
マーレ「見返りに渡せるものなんて、ねぇからな・・・。」
リヴァイ「・・・チッ。」
リヴァイは刃を勢いよく降ろし、マーレとベッドを繋いでいた鎖を斬った。
マーレ「・・・!」
リヴァイ「誰がいつお前なんかに見返りを求めた。あ?そんな状態のお前に見返りを求めるほど、俺は酷い人間じゃねぇ。」
ヒョイッとリヴァイは軽々とマーレを抱える。
リヴァイ「・・・どうやら戻ったら食う事から始めねぇといけねぇらしい。」
マーレ「・・・だろうな。食ってない。」
リヴァイ達が宿舎から出て来たのと、切羽詰まった表情のアルミンがここへ到着したのは、ほぼ同時だった。
アルミン「大変だ!!憲兵団の連中・・・ユリアさんを殺すつもりだ!!!」