第6章 審問
エルヴィン「・・・彼女が変わったのは、4年前からだというのは間違いなさそうだな。」
ハンジ「そうだね。マーレ・キールがいなくなって誰も止める子がいなくなっちゃったから、ユリア・キールはおかしくなっちゃったんだと思う。」
エレン「・・・ユリアさんがおかしい?」
ハンジ「この報告書を見てくれないかな。」
スッと渡された報告書。
記録者:×××
トロスト区内にて、すでに殺されていた巨人たちは、どれも何かしらの部分が大破していたのがわかる。あちらこちらに血が飛び散っており、一撃で殺害してはいない事が一目瞭然である。
記録者:○○○
トロスト区内にて、立体機動装置を装着せずに巨人に立ち向かう女性を発見。赤い髪の女性は巨人の肩を何かの刃で切り落とすと笑って巨人に話しかけていた。
ねぇ、次はどこがいい?反対の肩?あぁ、顔が汚いから目にしようか。それともそのダサい鼻がいいかしら?・・・あら、行儀の悪いその足にしましょう。
そう言って女性は地面に軽やかに降りると巨人の足を削ぎ落とした。巨人が悲鳴を上げたところ、
うるさい。
と突然笑うのをやめて巨人のうなじを削いで別の巨人の元へと歩いて行った。
エレン「・・・これ、って・・。」
ハンジ「間違いなく、ユリア・キールの事だ。赤い髪の女性で、しかも立体機動装置を使わず巨人を殺せるとなると、彼女以外には考えられない。」
リヴァイ「・・・5年前の報告書には、どれもうなじだけを綺麗に削ぎ落としていたとあったハズだが。」
ハンジ「彼がいないという事実が、彼女の心を不安定にさせ・・・そこから更に憲兵団からの圧力によって壊れてしまったのだと想定できるけど。・・・そんな時に現れたのが、エレン。君達だ。」
エレン「・・・え?俺?」
ハンジ「こんな報告書が上がっているのに、エレン達に会った時は4年前と変わらない自分たちを心配してくれるユリア・キールだったと、アルミン・アルレルト訓練兵が報告書にまとめている。・・・現に、私がここに連れて来るまでは暴れていたけど、エレンを見るや否やエレンに抱き付いた。・・・彼女は、エレン達を心の拠り所にしているみたいだね。」