第6章 審問
「ユリア・キールが無断でウォール・シーナ内から抜け出した。」
「・・・ユリアはウォール・ローゼに入って来る巨人を殺しに行った。どこに問題がある?俺達は兵士だ。巨人殺しの技術を習得した兵士だ。それなのになぜ巨人を殺しに行ってはいけない?」
「マーレ・キール。お前をユリア・キールは見捨てたんだ。」
マーレ「・・・別に構わない。」
4年もの間に、マーレの綺麗な黒い髪は腰まで伸びていた。
ストレスからか、物が喉を通らず、身体のラインは一般男性よりも細い。綺麗な顔立ちである事もあり、パッと見ただけでは女性にも見える。
マーレ「ユリアは自由に生きるべきだ。・・・俺の事は忘れていても構わん。」
憲兵2「・・・哀れな男だな。」
グイッと引っ張られ、ベッドに身体を沈められたマーレ。
憲兵2「武器を手放せば、お前もただの人間なんだな。」
マーレ「・・・。」
コツンッと窓に何かが当たる音がした。
しばらくすると、またコツンッと音がする。
憲兵2「・・・チッ。誰だよ。」
ガチャッと窓を開けると、そこにはたくさんの木の実が落ちていた。
憲兵2「・・・風で飛ばされてくるような場所に木なんてなかったはず・・。」
そう憲兵が呟くのが早いか否か、突然大量の小動物が姿を現した。
憲兵2「はっ!?」
壁を上り、ベランダにスルリと入って部屋に駆けこんでいく動物たち。
鳥もたくさんいた。
マーレ「・・・お前ら・・。」
気が付けば、沢山の動物に囲まれていたマーレ。
リス、ウサギ、ネコ、犬・・・モモンガまでいた。
憲兵がマーレに近づくたび、動物たちは警戒の目を見せた。
犬は憲兵に威嚇までしている。
憲兵2「・・・やれやれ。随分な護衛だな。」
そう言って、憲兵は部屋を出て行った。
マーレは起こしていた上半身をボスッとベッドに埋もれさせた。
マーレ「・・・あったかいな、お前らは・・。」
動物たちが見守るなか、マーレは静かに眠りに落ちた。
頬を伝う雫に気付かずに。