第14章 作戦
ユリア「あっちへ行きなさい。巨人は来ないわ。」
「あ、ありがとう・・・!!」
ユリア「ったく・・・!ダリスに聞いたらマーレは今朝飛び出して行ったって言うし・・・!!何なのよっ!!マーレッ!!!何処にいるの!!!」
ユリアは飛んでくる瓦礫を斬りながら叫ぶ。
「・・ぁ・・・っ!!」
ユリアの後ろには多くの一般市民がいた。ユリアが瓦礫を斬らなければ、死者が増えていただろう。
ユリア「早く行きなさいってば!!私、こんな事するためにここにいるんじゃないのよ!!!」
うぉぉぉおおおおおおおっ!!と、巨人の雄叫びが聞こえた。
ユリア「・・・エレンの叫び・・。」
それと同時に、その方角から一羽の鳥がユリアの元へ飛んできた。
ユリア「・・・なるほど。この作戦に気付いてたのね。マーレ。」
ユリアは泣き崩れている少女を抱き抱えて、壁を見据える。
ユリア「・・・ねぇ貴女。ここで少し待ってられる?」
少女「・・・おか、あさ・・。」
ユリア「・・・貴女のお母さんは、もう戻って来ない。貴方の前に、笑って来てくれる事は、もうないの。」
少女「・・・一人は・・嫌だよ・・・!!」
そう言って泣きじゃくる少女に、ユリアは目を見開いた。
マーレ。マーレは、私を一人にしない?
・・・あぁ。
あぁ、マーレもきっと、同じような気持ちだったのだろうか。
ユリア「約束するわ。私は必ず貴女の元へ戻って来る。」
少女「・・・お姉さんが?」
ユリア「えぇ。だから、ここで待ってて。」
少女「・・・約束よ。戻ってきてね。」
ユリアは少女の頭を撫でて、壁へと飛んでいく。
ユリア「・・・マーレは、いつでも私より先を歩んでるのね・・。」