第14章 作戦
ドォンッドォンッ・・・と、巨人の暴れる音が近づいてくる。
「・・・ここ、シーナ内だし修理費大変そうだな・・・。ま、知ったこっちゃないけど。」
屋根の上でボーッと傍観している男、マーレだ。
マーレ「女型が一人・・・追いかけられてるのはアルミンと同期か。・・エレンは巨人になり損なったか・・・?」
マーレはぶつぶつと呟きながら思考していた。
マーレ「女型の正体に辿り着いたのなら、証明させようとするだろうから・・・地下街の入り口。アイツの来た方向から察するに・・・あっちか。」
マーレはタンッと屋根から飛び降り、立体機動を始める。
数分経って、マーレはぐちゃぐちゃになった通路を見つけて降り立った。
エレンが瓦礫に埋もれ、木材がエレンに刺さっていた。
マーレ「エレン。」
エレン「・・・マー、レ・・さ・・・?」
マーレは瓦礫をどけて、エレンの傍に座り込む。
マーレ「この世界はな。美しいものほど、刺がある。・・・この世界は美しい。だから、残酷だ。」
エレン「・・・!」
マーレ「負の感情に流されるな、とかそんな事は言わない。・・・生きろ、エレン。」
そう言ったマーレの表情は、微笑んでいたのに、とても悲しそうだった。
エレン「・・・!うわぁぁあああっ!!!!」
エレンに雷が落ち、爆風が生じた。
マーレは爆風で空へと吹き飛ばされた。
マーレ「・・・壁の見えない、空・・。」
マーレは無意識に手を伸ばした。
マーレ「・・自由が、いいな・・・。」
マーレの身体は重力に従って地面へと落ちていく。だが、地面に直撃する事なく、何かがマーレの身体を受け止めた。
マーレ「・・・エ、レン・・?」
エレンはマーレを片手で掴むと、走り出した。
マーレ「な、にやって・・・!俺は置いていけ!!」
けれど、マーレの叫びはエレンに届かず、エレンは走り続ける。マーレが叫ぶたび、エレンは手に少しずつ力を加えた。
マーレ「・・・お前・・。」
それは、エレンがマーレを手放したくないという気持ちで行う強硬手段であるとマーレは気付いた。