第14章 作戦
ドォンッという音が聞こえて、馬車は止まった。
ユリア「・・・あらあら。思ったより近そうねぇ。」
「・・・あの、ユリアさん。」
外が騒がしい。
ユリア「・・・行って来ていいわよ。ジャンくん。」
エレンになりすましてユリアと共に馬車に乗り込んでいたのはジャンだった。
本物のエレンは今、女型を追っているはず。
ユリア「その代わり、エレンを宜しくね。」
ジャン「・・・はいっ!」
ジャンはバンッと扉を開けると飛び出した。
憲兵1「待てっ!!動くなイェーガー!!」
ユリア「憲兵。その子エレンじゃないわよ。」
ユリアはふわっとジャンの被っていたカツラを外す。
憲兵1「・・・!?」
ユリア「エレンはもう少し目が大きいわ。それに、エレンの方が小さくて、子供っぽいわよ。」
クスクスとユリアは笑ってジャンを見送る。
ジャンが立体機動装置を装着し、駆けて行ったのを見計らってユリアはカツカツとヒールを鳴らしながらエルヴィンに近寄る。
ユリア「私もそろそろ行って来ていいかしら?」
エルヴィン「あぁ。立体機動装置は4班に予備を渡してあるからそれを使うといい。」
ユリア「そうさせてもらうわ。」
リヴァイ「おい。本気でその恰好で飛ぶつもりか。」
ユリア「リヴァイの服を貸してくれるの?」
リヴァイ「・・・俺にその服を着ろ、とでも言うつもりか?」
ユリア「それもアリだけれど、今回はやめておくわ。」
そう言って調査兵団の一人に渡された立体機動装置を付ける。
ユリア「この格好でも飛べるわよ。ただ・・・男性は頭上を見ない方がその人のためかもしれないわね。」
リヴァイ「上から爆弾でも降って来るのか。」
ユリア「ナイフで目が潰れちゃうかもしれないわねー!」
ユリアは装置の確認をしながら笑う。
ユリア「ベルト、腰のとこしかしてないから不安定かしら?」
リヴァイ「そうだろうな。精々壁にぶつかれ。」
ユリア「酷いなぁ・・・。精々頑張りますよ。」
ガスを噴射して飛んで行ってしまった。