第13章 真実
「本日はマーレ様がいらしてるそうよ・・・!」
「あらやだ、すぐご挨拶に伺わなければ・・・!!」
マーレ「・・・恐縮です。」
「いやはや!元気そうで良かった!マーレさん、宜しければ私の娘と会って頂けませんか?ちょうど今日初めての舞踏会でしてね・・・。」
マーレ「・・・私なんかでよろしいので?」
「えぇ!マーレさんだからこそ娘の初めてのお相手をして頂きたく・・・!」
「マーレ様!ぜひ私の娘ともお会いになって!」
「マーレ様、私と踊って頂けませんか?」
マーレ「・・・では、本日はこのお方と。」
「・・・あの・・私なんかとでよろしかったのですか・・?」
マーレ「えぇ。貴方だから良いのですよ。」
「わ、私、こういう場所は初めてで不慣れなのですよ・・・?」
マーレ「ご安心を。私が僭越ながらリードさせて頂きます。」
「・・・挨拶が遅れました。私、モアと申します。」
マーレ「マーレ・キールです。本日はありがとうございます。」
モア「い、いえ!こちらこそ!!マーレ様のお相手を私なんぞがさせて頂くなんて・・・!」
マーレ「そんなにかしこまらないで下さい。・・実は、私も久々なもので不安だったのです。」
モア「・・・まぁ。」
クスクスと二人で笑う。
マーレ「・・・もう1曲、ご一緒させて頂いてもよろしいでしょうか?」
モア「・・・えぇ。もちろんですわ。」
モア「私、実はパーティーが苦手で、今までこのような場に来なかったんですの。」
二人はベランダに出て、風に当たっている。
マーレ「・・・そうだったんですか。」
モア「そろそろ結婚を考えろと父に言われまして。・・・嫌々来ちゃいました。」
マーレ「それでも、今日貴方にお会いできて良かったです。」
モア「私もです。・・・ユリア様と合わせられましたか?」
マーレ「!」
モア「懐かしむような眼をされていらっしゃったので。ユリア様とは程遠かったと思いますが・・。」
マーレ「・・・いえ、初めてこのような場に来たユリアと、同じでした。」
モア「・・・楽しんで頂けましたか?」
マーレ「・・御陰様で。すみません。」
モア「いいえ。構いませんのよ。」
それ以上会話は続かず、静かな時間が過ぎて行った。