第11章 白スーツの女ホストと浮世離れした美男ホスト ーーーーー全員
[何よっ、あんたもバカにしてんでしょこんな迷惑客だって追い返すんでしょ!!]
おお女の人は赤らんだ顔でヤケになってガラスを悪魔野郎に投げつけようとしていた―ー
ヤバくない!?別にあいつの心配してないけど問題起きそうーーーっ!!!
[お客様、]
悪魔野郎が、女性客の手の中のガラスをスッ···と優しく取った。
女性客の肌を傷付けないように。
[あなたが手を傷付けるところ、僕、見たくないな···]
と、まさにふわふわのまつ毛で天使の眼差しを向ける菜太郎に、女性客も少しウッとなったようだ。
美しさって凄い····!!
[っ、あっあんたそんな都合良い事言って!本当はあの女のとこ早く戻りたいんでしょてんっ···ガキが!!]
危うく天使と言いそうになった女性客は、ちょっとばつが悪そうだった。
だけどまだ明らかに機嫌が悪い。
[そうですね··あなたの言う通り子どもっぽいかもしれません···。だけど、僕あなたが辛そうなの見ていられない。]
[っ何よっ···]
[あなたは泣き顔より笑顔の方が美しいと思うから···]
そう言って、菜太郎は、女性客の涙をそっと拭い取った。
その美男子の様子はとても絵になり、他のお客様もうっとりとしていた。
[あなたに涙は似合わない···レディ、僕に何でも話して······?]
[···········っ··うっ··]
と、女性客が号泣し始めて、暖かい空間が広がる。他の女性客もホストとの一時を楽しみ始めた。
私は、ポーーっとしていた。
あんなに荒れてた女の人を、あの一連の流れで泣かせて慰められるなんて···。
クソ悪魔野郎、やっぱりクソだけど、やる··。
天使のような美男子ホストにうっとりと心が潤う気がした。
[ねぇ、]
ーーーーが。
[ごめんね、席外しちゃって···本当にゴメンっ。ちょっとあの人、荒れちゃってるみたいでさ···]
[ううん、大丈夫····]
[後でたくさんサービスするから。だってーー君は特別だから]
なっ
そして元々ついてた女性客をスッと離れ、耳に囁かれたその女性客はたちまち赤くなり、嬉しそうに照れ笑いをする。
その後、
[何でこんな気にかけてくれたのよっ···!]
と泣きじゃくる女性客に、
[僕、一目見た時からずっと好き。]