第9章 夢夜、始動 ーーーーーーーーーーー全員
[で、でも····どうしてそう言い切れるんですか?]
スウさんは、無表情のまま、何故か
[······彼··、···が········い··るか·····ら·····································]
[彼?]
私から視線を逸らしている。
[菜太郎のことですか?]
スウさんは何処を見ているのか分からない、右斜め下に向いている首を少し、ゆっくりと下げた。
[ヘえ···あの二人メッチャ仲良いんですね、あのくくさんの暴走を止められるなんて!]
私は神美し過ぎるスウさんのお姿を見ずに盛り上がった。
[あの二人のこと、スウさんは何か知っていますか?どうして仲良くなったんだろう、あの悪···二人]
素朴な疑問を持ったところに、ノックが
[山田ちゃん?どうしたの?]
[アッッッ!!!すっ、ごめんなさい!!ちょっと確認したい事があって] [早く早く!] 私は急いでドアをバタンッと閉めた。
[·············駄]
スウさんの囁く声は、今の男装ホストの私の耳に入ってこなかった。
[え、ええっと]
と急いでお客様のところに向かおうと気を引き締めてたら、
[アンタ始まって早々何サボッてるの?] この声は、と言わずとも
[悪魔····菜っ太郎くん♪] [なんなの気色悪い声、その笑い方キモ]
と私の堪忍袋の緒をよく切れるナイフで思いっきり襲う悪魔野郎は、悪魔、いや大魔王モード突入ー、わーい。
[その顔客には絶対するなよ、すっごい不細工でこの上無い位不快、で?あの男とは何お喋りしてたの]
と、腕を組んで可愛らしいふわふわの髪型さえねじ伏せて悪役が怒ったように立っている悪魔野郎を見て、一生無休でホストしてろとプルプル拳を握っていたら、
[早くしろよ]
くそっ、さっきのホストさんの早くは全然良かったけど、コイツ
だと10000000倍苛つく!!
と速く歩く菜太郎の後ろ姿の美にイライラしながらついていく。
[くくと僕のこと喋ってただろ]
[エッ!?]
と仰天して立ち止まる私を無視してどんどん進む悪魔野郎を走って追いかける。
[何で知ってるの?あんたまさか盗み聞きしてた?]
[やっばりそうなんだ、分かりやす] [ぐっ!?]