第15章 人生初の..デ、デ..?
ザシュッ。
菜太郎が投げたボールは、赤い輪に当たらずに、綺麗に入った。
[っきれいに入った!]
ビイイイーッと試合終了の音がして、菜太郎がいるチームの高校が
圧倒的な点差を見せつけて勝利した。
キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
と女の子達は、手を振ったり笑ったりする天使モードの菜太郎に夢中だった。
[アイツ..、あんな真剣なカオするんだ]
何故か、胸の下の真ん中らへんが、ぎゅっと苦しい。
[悪魔野郎のくせに..]
女の子達は、帰ろうとする菜太郎めがけて走り出す。何故かーー
[り、理科子ちゃん、本当にクッキー渡す気?]
[あったりまえでしょう!あんな美少年放っておくつもり!?]
私達もその中の2人。
廊下はぎゃあぎゃあ菜太郎君菜太郎君のキンキン声で埋め尽くされた。か、かえりたいなあ。..あ、あれーー
[ありがとう、皆....僕の為にっ]
天使の微笑みで女子達阿鼻叫喚。
[見えてきたわよ!菜太郎様が!!]
と、理科子ちゃんが言った瞬間、
[えー!なんでここにいるのお!?]
この、どこか嫌な感じのする声は..
[昼ぶりーー!やっぱりクッキー時間経っても真っ白に戻らなかったねー?いつ見てもその超焦げたクッキーをウケるわあー!]
[!]
その言い方は、赤ちゃんをあやすような、バカにした言い方だった。
いつの間にか、キャハハハッと笑う、昼間に会った派手な女の子達5人が、理科子ちゃんの隣にいる。
[何その気持ち悪い声。]
理科子ちゃんがさらに何か言おうとしたのを遮って、リーダーっぽい、1番派手な格好をした女の子はあははっ、と笑った。
[そうじゃないのお!?みみだったらこんなマズイクッキー死んでも渡せない!!すごいねえ!その図太さほんっと憧れちゃうっ!!]
ホンットーー!キャッハハハハ!と女の子達は一斉に笑い出した。
黒板をキイイイイイとかくみたいなとても不快な笑い声だった。
私はうつむいて、スカートをきつく握った。
..き、気にしない気にしない!
[はあ?しつこいし図太いのはあんたらの方でしょう!?そんなことをしつこく悪口言うなんてあんたら幼稚園児ね!!]
理科子ちゃんの言葉に、周りの女の子達がザワザワし始めた。
[ウザ]
ドンッ!!