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ご指名は?

第15章 人生初の..デ、デ..?




[エエ!?めっちゃラブラブで有名なあのカップルが!?]


と言った瞬間、理科子ちゃんはもうキャアアアアアア!!!と小柄な体から出てるとは思えない悲鳴を上げていた。

その途端、綺麗なドリブルをして息を荒げて走っている菜太郎が、いきなり悲鳴を上げた理科子ちゃんを振り向いた。

[!] 理科子ちゃんがはっと息を飲む。

菜太郎は、ニコッと微笑んだ。その天使そのものな表情だけでは飽き足らず、理科子ちゃんへ控えめに手を振った。

..っな!!

[!キャアアアアアアアアアア!!!]

理科子ちゃんは勿論、そのまわりの女子達も一緒になって叫んで

キィィィィィイーーーンと耳が痛かった。

菜太郎君こっちにもーー!という声が360度全方面から耳に入ってくる。

な、な..!!私はグググギギウ..とコブシを震えさせた。

やっぱり外面だけはめっちゃ天使だな腹立つわ悪魔野郎!!

女子の皆すぁあああん!聞いてくださいこいつ本当は初対面の女の子が尾てい骨ぶつけた時鼻で笑って鈍臭いな早く立てよ?とか言ってそのまま去る悪魔なんですよおおおおおおお!!死神インザ死神なんですよおおおおお!!

[あ、あのう理科子ちゃん私も、もう帰りたいかなあ〜、]

[キャアアア!!笑って下さい菜太郎様ああああああ!]

理科子ちゃんに初めて無視された。

後ろをチラッと振り返ったら、そこにはおぞましい数の女子、しかもほぼ全員発狂するという怖い人達いた。

か、帰れないいい。

ということで、試合の様子を見ることにし、そっちに目を向けた。

[なっ、なんかアイツすごいじゃん..!]

菜太郎が、ボールを取ろうとするウチの高校の手てからするりするりとあっという間にすり抜けている。

走りが誰よりも速い。

私は、次の瞬間、ハッとした。まわりの悲鳴が聞こえなかった。

[ハァッ、..ハァッ....!]


その菜太郎の顔は、いつもの砂糖のようにどこか甘ったるいものではなかった。眉はピンと真っ直ぐ上がり、目尻も上がって、誰よりも真剣だった。瞳孔が開いていて、敵に一瞬の隙も与えない。




ドクン..


なぜか、その真剣な表情にーー。

[あと5秒!!]

その大きい声にハッと我に返った。そういえば、得点はーー

え?

その刹那、菜太郎がシュートへジャンプした。


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