第15章 人生初の..デ、デ..?
[クッキーわざと焦がすわけないでしょ。この子が]
り、理科子ちゃん!と私は思いつつ、嫌な感じがする女の子達から早く離れたかった。何だろう..?いきなり。
[やっだこっわあい!何マジになってんのー!?ごめんねえ優等生!]
優等生の時の声が皮肉らしい。
[もう用は無いでしょ。行こ]
と言う理科子ちゃんに私もついていこうとした。とその時、ガッと後ろから腕を掴まれた。理科子ちゃんの背中が遠ざかる。
[ブスのくせに菜太郎君に近付くんじゃねぇよ。他の男の子にも囲まれて調子乗ってんじゃねえ。その焦げたクッキー菜太郎君に渡すつもりなんかないよねえ?恥ずかしくて?]
[!!!]
この人、なんで菜太郎のことーー。
[じゃあね!]
耳元から派手な女の子が離れ、乱暴に私の腕をはらった。他の女の子達にジロジロと睨まれながら、私は走って教室に向かった。
[大丈夫?あの低脳女達に何もされてない?]
理科子ちゃんが私を見上げる。私は、精一杯頷いた。
[う、うん大丈夫だよ!]
[キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!]
体育館に向かう途中、もう女の子達の悲鳴が聞こえてきた。
え、ええと、
[り、理科子ちゃん何故私達は放課後体育館に?]
[知らないの!?]
と理科子ちゃんの三つ編みが私にアタックしたところで、
[今日バスケ部の練習試合よ!てことはもうあの人しかいないわ!]
[理科子ちゃん、またカッコいい人見つけたの?バスケ部で?]
[ちがうわ!我が高校のモヤシバスケ部じゃないわ!練習試合の相手高の人よ!]
[も、モヤ..そ、そうなんだーへー]
まあ隼人さん達よりはなかなかいないと思うし。
[興味なさそうね!]
キャアアアアアア!!!と叫び狂う体育館へ一歩踏み出した瞬間、
[見たら発狂するわよ!]
と言われて、女の子全員の視線の先を探ったらーーー
髪を後ろで少ししばった、菜太郎だった。
[ええええええええええええ]
アゴが一瞬外れそうになる程、驚いた。
[菜太郎てバスケ部だったの!?ええ!!]
[?何言ってるの?少なくとも彼氏いない子は全員菜太郎様にクッキー渡すつもりよ!アレ?あの子ミスター優勝した男子と付き合ってるのにクッキー持ってるわ!渡すわね!!]