第15章 人生初の..デ、デ..?
[くくさん..]
..今日に限らず昨日も色々あったなあ..。
彼には何か、趣味じゃ説明つかない、拒絶されることに執着する理由があるのではないだろうか。
[うーんまあ思い過ごし..だろうとは思いたいなあ。]
疲れていたのか、私が眠りにつくのは、そう遅くなかった。
翌日。
[ねぇねぇクッキー誰にあげるー?] [そういえば今日のバスケ部の練習試合 相手、めっちゃ顔綺麗でモテモテらしいよー!] [へぇ見てみたーい!]
グラウンドでサッカーしている男子達を見ながら、女子達は調理実習で作ったクッキーを誰にあげるかキャッキャッと喋っている。
一方ーーー
チーン! [どどうだー!?]
と私は半ばヤケクソでオーブンを開けた。そこにあったのは、見事な、友達の理科子ちゃん曰く、
[焦げてチョコクッキーみたいなのがあるわ!なにこれええ!]
があった。プスプスプス、と文字通り真っ黒で凸凹のぶきっちょクッキーが、不穏な音をたてる。
[まさか悪魔野郎の言う通りになるとは..]と私は焦げたクッキーを前にし、なんかよく分かんないけど悟りを開きそうになった。
[もう何回全部焦がしてんの?信じられないわ!]
三つ編みの、かなり低めのツインテールを揺らし、理科子ちゃんのメガネは曇っていた。
[ご、ごめんよお、すまねぇ何度も..]
[それにしても、何が原因なんだろう?分量任せるんじゃなかった]
とまた作り出す理科子ちゃん頼もしい。
ちなみに、理科子ちゃんは理系で理科が物凄く好きな理科学年トップちゃんで目が丸い。可愛い。可愛いよ。
時間が経って、っチーン!
[だ第7号ーー!]
プスプスプスプス..[においがさっきよりも苦っ!]
と理科子ちゃんがすかさずツッコんだところで、チャイムが鳴り、
授業終了。
[あー一応可愛い袋に入れてみたものの、クッキーは漆黒で黒かったぜぃ]と私は半泣き。
[黒いって2回言ってるし...]
みたいなやりとりを理科子ちゃんとしていたら、
[アハハッ!!]
私達は声がした方に振り向いた。
[そんな焦がしてえーー絶対わざとやったでしょ!その黒さあ!まじウケる!]
派手な格好した女の子達5人が、高い声でアハハハハッと笑い始めた。隣の理科子ちゃんが顔をしかめたのが分かる。