第14章 夜のプリンセスの化身 ーーーーー全員
ふいに、
ひょいっ。
[!![あれっ、手、冷たいじゃん]
と、隼人さんが私の手をギュッと握った。
[ううふぁふぁふぁ[あっこれカイロ!俺そろそろ行くねっ!]
と私の手にカイロを持たせ、隼人さんはスマートに急いでお客様の元へ。もう、さっきとはうって変わってお客様と喋り始めた。
[びっ、ビックリしたあ···]
とカイロをポケットに入れた瞬間、
[ねー疲れたァァァッッッ!!!]
[えっ]
とそこにはくくさん![えっちょっ早く戻って下さいよ!!]
と反射的に距離を取る。う、今にもくっつきそう。というか前のお風呂の件でドキドキが止まんないんスけど!!
[拒絶アイゥイイイイッッッ!!!]
[ヒィィィィィィィ!!!!ヒィィィィィィィ!!!!!]
と騒ぎにならないように地味に速くくくさんの魔の手から避け続ける!!な、なんだこれ。
[何しに来たんですか!!]
[ダッテェェ、バラバラプリンス達も来てたじゃん!!だからボクもボクもO!!!]
[いややめてください!触ろうとしないでドントタッチミー!!ねえ見える肌色の部分!?そこの部分というか全身触っちゃいけないゾーン!!!!しかも今ダメでしょ!!!]
と低くささやい合い(というか私だけ)してる間にもチラチラと他の人の目を確認!よっ、良かったあああ。皆様夢中で気付いてない!
[いや後であの菜太郎にしばか··褒められちゃうよ!!イイの!?]
と危うくくくさんの興奮度を高くしてしまう言葉を言ってしまいそうになり、自制する。
[ぅえッッッ、]
ピタッ。
ん?··あれ。
くくさんの動きが止まった。
[それはイヤ···ッッッ]
くくさんの、菜太郎にセットされてサラサラな髪がプルプルと震えていた。
[えっ、あの··]
そのままプルプルと突っ立ったままのくくさん。え、どうしよう··。
[いやあの今触らなければそんな事しませんよ··!ね、だから]
とその時、私が避ける間も無く、くくさんが私に近づいた。
[え··]
そして、ガクッと床に膝をつき、私のウイッグの短い髪を一房すくった。[っ!!!えっ、あっ、あの··っ··?]
ドクドクと鼓動が急に激しくなる。くくさんは私の顔を見上げた。
長い前髪が少しずつ、ハラハラと肩にかかっていた。