第13章 熱出しプリンセス ―ー―ー―ホストナンバー4
[だけどまた作ってもらうなんてそんな!私なんかの為にって遠慮してしまいました···!]
私はでへへ、と頭をかき、でも反応の無い隼人さんを見て、遠慮するんじゃなかった、素直に食べますって言えば良かった。
[アンタ··]
と悪魔野郎が何かポロッと声に出した。だが、すぐにタバスコ丼を食べ始めた。
[スミマセン、いらないって意味じゃないんです!私の為に作ってくれてう、嬉しかった···で、す]
嬉しかったの所だけ小声になってしまった。
隼人さんがぴく、と動く。そして、振り向いた。
[っッ君って人は――――――]
どきっ、とした。
一瞬、隼人さんは泣いているのかと私は勘違いした。
顔の口紅のようにはっきりとした赤い色は、喜びを噛みしめているみたいだった。
だが、下を向いて、ただただ、スゴく欲しい物が目の前にあるのに手に入らない状況みたいに、眉を歪ませていた。
隼人さんはまたキッチンの方に向き、料理を始める。
[山田のリクエストに応えて!]
と、隼人さんは言う。その声は、ちょっぴり震えているように感じた。
わあ!!また隼人さんの料理が食べられる!
はた、と気が付く。
[ははは隼人さんでも私の口に合わなかったのでそんないっぱいやらなくてもいいです本当くずです本当ごめんなさい!!]
とグラグラガンガンする頭をガバッと下げた。
[··山田のそういうところ俺良いと思う]
とボソッと隼人さんに言われて皮肉じゃないかと考える前にスゴく喜んでしまった。
[山田ありがとうっ!菜太郎食べる?]
[遅い。]
[さっきいっぱい作ったばっかりなのにもう全部食べてるっ!!]
ああ、私も菜太郎のような味覚を持つ女になりたかった···。折角イケメン隼人様に作ってもらったーー、
ううん。
と、さっきの隼人さんの姿が鮮明に浮かぶ。
隼人さんに私なんかの為に作ってくれたのに。あああ。
[葉太郎くんにもお粥ーー]
[待って!]
隼人さんが大声で言った。ちょっとビクッとした。
[そのお粥ーー山田に嬉しいって言われたそのお粥だけは、他の男に食べさせたくない。]
[え···?]
スウさんから視線を感じた。疑問の目差し。