第8章 夢見る少女は揺れ動く
「わかったわ!」
エミリーは思いついたかのようにそう言って銀行に向かった。暗証番号が頭に浮かび、テキパキとカードを入れて入力すると現金を引き出すことに成功した。一度にたくさんではなくあちこちの銀行で少しずつ引き出して大金を得ることができた。
「これで暫くは大丈夫そうだな。」
ジャックが感心して言った。
「後は車を借りるだけだけど、どうする?住所とか書かなきゃいけないかもだし、身分証明書とか必要かも。」
メイソンが考えながら言った。
「それもそうだな。でもエリーナが前に行ったパソコンの時はうまくいったから今回もそれで行こうと思う。」
「ああ、あれね。」
ジャックの言葉にエミリーが頷いた。
「よし、レンタカーを探しに行くぞ!」
ジャックの言葉に促されて仲間達は足早に歩いて行った。
★★★
「何をやっているんだ?」
アメリカ警察では未だにエミリー達の行方を追っていた。
「それがアメリカ中探したのですが・・・。」
「探しただと?もっと隈なく全部の州を確かめてみなさい!」
「あっ、はい。」
こんなやり取りが警察本部に響き渡る。
ニュースや新聞ではエミリーちゃん失踪事件についてあることないこと報道していて何が本当なのか市民の心は揺らいでいた。
ジェイデン達家族の身辺調査も行われたがイマイチ情報が掴めていない。
またこの一連の報道でエミリーちゃん失踪事件の前の家族での暮らしぶりが注目されて母親が執拗に娘に対して無理な躾を行っていたという報道もあり、児童虐待ではないのか?と考える専門家も現れていた。
夫婦の離婚裁判での様子もニュース番組で再び話し合われ、父親の話していた妻の娘に対しての虐待が真実ならばという観点での話し合いも行われていた。
何が本当なのだろうか?