第8章 夢見る少女は揺れ動く
それからアメリカ中でエミリーちゃん失踪事件について再び話題に上がったがエミリーがハリウッドに姿を表すことはなかった。
父はしばらく待っていたが諦めて帰って行った。警察の事情聴取で父は娘に会った時のことを詳しく話した。その時に娘が凶悪犯だったと知らされて絶望した。
「まさか、そんな・・・嘘だと言ってくれー!」
父はその場に崩れて座り込んだ。頭を抱えて何かを呟いていた。
「なんでこんなことに。」
一方の兄は職業相談に行き、なんとか失業保険だけはもらえたようだった。
「ああ、失業保険が切れた後はどうしようー。」
職員の人も一応は仕事を一緒に探してくれるらしいが犯罪者の兄と知られてしまい受け入れてくれる所があるのだろうか?」
「大体なんでエミリーはこんなことをやっちまったんだろう?だって普通に誘拐されただけなら助かって感動的に終わったんだろうによー。はぁ、こればっかりは仕方ないがため息しか出ないな。」
ジェイデンはその時と思った。父さんはこの事実を知ったんだろうかと。
エミリーとハリウッドで会った時はどんなに嬉しかったことだろう。しかし結果がこれだもんな。空を見上げると曇り空に雷が鳴っていた。ジェイデンは足早に家に帰宅した。
住んでいるのは賃貸アパートの一室。早く仕事を見つけないと家賃も払えなくなってしまう。コンビニでもなんでもいいからとりあえず働かないとな。
「はぁ、疲れた。」
ジェイデンはどさっと荷物を床に置いてベットに寝転んだ。
明日からどうしようという不安でいっぱいだった。
もし仕事が見つからずに一文なしになったら?
そうだ!YouTuberになるのはどうだろうか?でもなんの目的に?YouTuberがやってそうな企画を同じくやったところで誰もみてくれないだろうし、暴露とか?ジェイデンは少しの望みにかけてみたいとこの時はそう思った。