第8章 夢見る少女は揺れ動く
「おはようございます。」
ジェイデンは翌日、お店に出勤した。子供の頃にテニスをやっていたことを思いだしたジェイデンはスポーツ用品店に勤務していた。
「あれ?」
他の店員がいつもと態度が違う。いつもならすぐに挨拶を交わしてくれるのに。
「・・・・。」
初めて無視された。どうしてなんだろう?そう思いながらいつものように品出しを行っていると誰かにぶつけられてしまった。
「邪魔なのよ!どいてくれる?」
お客様ならまだしも店員だなんて。
みんなの当たりが強くなった気がした。
「カールソン、ちょっといいかな?」
「はい、なんでしょうか?」
ジェイデンは店長に呼ばれて裏方に入る。
「君さぁ、今日でクビだから!心残りがあるなら今日のうちに済ませちゃってね。」
「あの、何でクビなんですか?僕は真面目に働いてましたし店長の言うことも聞いてましたし・・・なんで・・・。」
ジェイデンは愕然としていた。
「それは前までの話ね。でもさ、君がいると危ないんだよね?」
「どうしてですか?」
「口答えしてる暇があったら手を動かしたら?本当に最近の君ってドンくさいよね。」
「どうして・・・。」
思い当たる節もなく突然クビの宣告。何が何だかわからなかった。悔しい思いで品出しを行っているとどこからかヒソヒソと声がした。
「ほら、あの人よ!妹さん犯罪者なんですってね。」
「お兄さん可愛ソー仕事も辞めちゃうんでしょー。」
「えっ?どこの声だ?」
おかしいな、クビだって言われたの裏方だったから店長と僕にしか聞こえていないはずなのにとジェイデンは不思議に思っていた。
ああ、そうか。信じたくないけどエミリーが犯罪者なら僕はその兄にあたるもんな。でも僕は妹とは血縁関係あるけど犯罪なんてやってないぞ!勝手に決めつけるのおかしくないか?頭の中によぎるハテナマーク??
結局店長や店員の態度が変わることなくジェイデンは仕事を失ってしまった。
「職業相談に行こうかな?まずは失業手当もらいに行かなきゃ。」
ジェイデンは薄々気づいていた。もう僕なんて雇ってくれる所なんてないのにと。