第8章 夢見る少女は揺れ動く
ジリジリジリー。
ある日、家のドアの呼び鈴が鳴った。ジェイデンは重たい腰を起こして立ち上がるとドアの方へ駆けつけた。
「誰だよ~。今日は休日だって言うのに。」
ジェイデンは実家に来ており母とお茶をしている所だった。
ガチャッ。
「はい?えええ?」
ジェイデンが驚くのも無理はない。そこには2人の警察官が立っていたからだ。
「あの・・・僕が何かしましたか?」
ジェイデンは不安そうに聞いた。
「エミリー・カールソンとは君の妹だね?」
警察官が淡々と聞いた。
「あっ、はい。そうですけど?エミリーがどうかしたんですか?」
ジェイデンがそう聞き返す。
「君の妹には国際指名手配がかけられている。強奪、万引き、ハッカーそして殺人だ。」
「嘘だろ?そっそっ・・・・そんなあああ。」
その話を聞いてジェイデンの顔がみるみるうちに青ざめた。
「色々調べてみたんだがつい最近、妹がこちらを訪ねたそうじゃないか?まさか妹を隠しているなんてことないですよね?」
警察官の問いかけにジェイデンは必死に首を横に振った。
どうしよう・・・情報提供者には賞金がかけられてる。ここで真実を話せば少しでも金がもらえるかもしれない・・・けどエミリーのことがまだ信じられねえ。でもここで話さないとますます疑われるのは俺や母さんだ。ジェイデンはそんなことを思いながら口を開いて話し始めた。
「違います。確かにエミリーはここに立ち寄りましたが入れたのは玄関先だけです。元気にしてるのかっていう確認をしただけでエミリーは忙しそうに帰ってしまいました。」
「そうか情報提供ごくろうであった。その時いたのはエミリー1人だけか?」
「えっと確か・・・名前は知らないけど男が陰に隠れていてエミリーと一緒に帰っていきました。あの、エミリーのやったことは本当なのでしょうか?もし本当なら・・・恨むなら母さんだけを恨めばよかったんだ。どうしてこんなことを。」
ジェイデンは目に涙をためながら話した。
「気の毒な兄だがこれは事実だ。事情はエミリーに聞かないとわからないので行方を追っている。妹とは連絡を取っていないのか?」
警察官が冷静にジェイデンに聞いた。
「いえ、連絡先を知らないので取っていません。」
「そうかまた何かあったら警察まで知らせてくれ。」
「ありがとうございました。」
バタン!