第8章 夢見る少女は揺れ動く
「まずいわ、まずいわ。」
エミリーは焦っていた。
「だから言ったんだよ。エミリーはでしゃばりすぎなんだよ!」
ノアが不貞腐れていた。
「こうなったからには仕方ない。でも父親との再会は果たしたんだからこれでいいだろう?それにまた父親に会ってみろ?色々催促されて国際指名手配がばれてしまうぞ。いやとっくに知ってるのかもそれないがな。もう時間がないんだ。予定を変更してアメリカを旅立とう。いいな?」
ジャックがみんなに促して言った。
「ごめんなさい・・・私のせいで・・・ごめんなさい。」
エミリーは泣きながら何度も謝った。
「起きてしまったことは仕方ないよ。でもさ、あの父親だから明日の約束時間にハリウッドに行くんじゃないか?せめて置手紙だけ置いていこうぜ。」
ベンジャミンが心配そうに言った。
「そうね、手紙を書いて超能力でなんとかするわ。」
エミリーは早速手紙を書いた。
『パパへ
昨日は少しだったけれど会えて嬉しかったわ。本当はハリウッドで会う約束をしていたんだけれど私が行く時間が無くなってしまったの。ごめんなさい。でもパパの元気そうな姿が見られてホッとしたわ。しばらく会えないけれど体調を崩さないようにパパ頑張ってね。無理は禁物だから。またどこかで会えるといいわね。
エミリーより。』
手紙を書き終えて明日を待つことにした。
「ここにいても仕方ないからなるべく遠くに移動しよう。さすがに別のレンタカーは借りられないからな。もうアメリカ中に知れ渡ったんじゃないか?さぁ、行こう。」
エミリー達はハリウッドを離れてメキシコ方面に向かった。
「メキシコではまだ知られてないはずだ。それじゃあ行くぞ!」
エミリー達を乗せた車は加速して行った。