第8章 夢見る少女は揺れ動く
『速報です。8年前に起きたエミリーちゃん失踪事件から日が経ち今日まで捜索を続けてきましたが、新たな動きが分かってきました。現場よりジェシーキャスター?」
「なんだ?ニュースっておいっ・・・。」
実家の食卓で兄のジェイデンは買ってきたハンバーガーを頬張りながら驚いていた。向かい側では母が静かにパスタを食べている。
『こちらジェシーです。今ハリウッドに来ています。昨日のお昼過ぎにエミリーちゃん失踪事件で誘拐されたと思われた少女が姿を現し父親との再会を果たしました。これだけなら感動的に済んだのかもしれませんがあの少女は国際指名手配にかかっており警察が行方を追っています。』
「国際指名手配だって?なんでまた・・・。」
驚くのも無理はない。エミリーが失踪した当時は連日のようにニュースになって取り上げていたがパタリと止んでからは情報が入ってこなかったのだ。
兄のジェイデンはてっきり誘拐されて失踪したとばかり思いこんでいた。なのでこの衝撃の事実に驚きを隠せなかった。
『エミリー容疑者は少女時代は超能力の大会に度々出場しており注目を集めていましたが今や国際指名手配がかかっています。アメリカのどこにいるのかは分かっていませんがアメリカ国内にいると見られ、情報提供を警察の方で呼びかけています。またエミリー容疑者と共犯者とみられる男達の行方も追っておりこれ以上の被害者が出えないことを願うばかりです。彼らを見付けた人には賞金で100万ドルかかけられています。また情報提供者には10万ドルがかけられていてます。エミリー容疑者は父親とまたここで会うことを約束しており、今再び別の方面から注目を集めることになりそうです。以上現場からでした。』
「おい、母さん今の聞いたか?」
「ああ、あの子もとんでもないことをしでかしてくれたよ。」
母はニュースを聞いても自分には関係ないとばかりに冷静だった。
「どうすんだよ?あっ・・・そういえいばウチに尋ねに来てくれた時に男と一緒だったような?くそ~。」
やるせない思いと複雑な感情でジェイデンはいっぱいだった。