第8章 夢見る少女は揺れ動く
レッドカーペットの近くまで行くと整理券を手にしたファンやカメラマンやジャーナイルスト、ニュースキャスターでごった返していた。
「ちょっと君達‼整理券を見せなさい。」
エミリーとノアはスタッフに呼び止められてしまった。もちろん整理券など用意してるはずがない。
「すみません、整理券を持っていなくて・・・でも会いたい人がいるんです。」
ノアがスタッフに一生懸命に訴えた。
「ダメだダメだ!整理券を持っていない人はレッドカーペットには近づけないんだよ。」
「パパに会わせてください!」
エミリーは必死に訴えた。
「何を言ってるんだ?でまかせもいい加減にしなさい。」
スタッフに腕を掴まれたエミリーは一か八かやってみるしかないと思った。
「パパ、いるんでしょう?エミリーよ!」
エミリーが声を上げたのでそこにいた一同が彼女の方を振り返った。
「おい、エミリーなのか?」
「久し振りね・・・パパ!」
パパがレッドカーペットとファンの間に設けた柵のギリギリまで来てくれた。私達はお互いハグしあった。
「どこで何をやっていたんだ?」
「それはその・・・でも会えて嬉しいわ。ずっと探していたのよ。」
「それは俺も同じさ。なにわともあれ元気にやっていたならそれでいいんだ。そういえばエミリーもうすぐ誕生日だったろう?プレゼントを買ってやるが何がいい?」
エミリーはもうすぐ17歳の誕生日を迎えようとしていた。
「わからないわ。今は何も考えてなくて。」
「明日は空いてるか?」
「ええ、空いてるわ。」
エミリーは頷いた。
「授賞式は今日で終わりなんだ。明日には殺風景になってると思うから明日ここで会って色々話そう。」
「わかったわ。ありがとう!」
エミリーは父と別れノアと歩き出した。
「お前は馬鹿か?いくら感動的な出会いでも俺達のことが世間にバレたら終わりなんだぞ?」
「あら、とっくにバレてるんだしいいでしょう?」
「あんなに大きな声出して・・・これは警察に捕まるのも時間の問題だな。」
ノアが呆れて言った。
「なんですって?そんな言い方ないじゃない。だってほかにどんな方法があるっていうの?私は最善を尽くしたまでよ!」
エミリーは泣きながらそう言うと走り出した。
「おいっ、待てって!」