第8章 夢見る少女は揺れ動く
ロサンゼルスに到着してみんなで街を歩いてみた。ここは自由な人達でいっぱいだった。
ゲイと呼ばれる男性の恋人と仲睦まじく歩いてる人もいれば逆のレズビアンの方もいる。肌の色もみんな違い目の色や髪色もみんな違う。だけどそれらを個性として認めあっているそんな街だと思った。そして街ではオーガニックで溢れていて健康志向の人達が沢山いた。
「街の人に聞きこむのはまずいな。たぶんバレるだろう?」
ジャックが皆に問いかけた。
「でも変装が得意なベンジャミンが話しかけたらどうかしら?」
「それは名案だな。」
ということでベンジャミンが変装して街の人々に聞き込みを行った。
「すみません、エミリーちゃん失踪事件について調べているのですがエミリーちゃんの父親が現在どこにいるのか知りませんか?」
ジャーナリストだと偽って人々に声をかけて回った。
「知らないわ。」
「知らんな~。」
「その事件なら聞いたことあるけど父親についてはわからないよ。」
という人がほとんどだった。しかし諦めかけていた時に有力な手掛かりを得ることになった。
「ああ、ジョナサン・カールソンでしょう?私、あの人の本を買って興味が出たから講演会に行ったことがあるの。」
黒人のパーマの女性がそう教えてくれた。
「貴重な意見をありがとうございます。その時にジョナサン氏は自身の自己紹介はどのように話していたか覚えていますか?」
ベンジャミンがメモを取りながら聞いた。
「自己紹介?何でまたそんなことを聞くのさ?まあ、覚えてる範囲内で話すけど以前は家族4人で暮らしていた。前は車の部品を作る工場で働いていたけど離婚してからは職を転々としてたって聞いたよ。自分も若くないしなかなか面接しても雇ってくれる所がなかったって言っていた。でも確か・・・友人の誘いで映画制作の仕事をしてるって言ってたよ。知らないのかい?去年、アカデミー賞を取った作品だよ。ジョナサンが監督を務めたんだ。タイトルは確か・・・
The dreaming girl swaysだったかな?あの人、娘さんのこと凄くかわいがっていたからもちろん息子さんもね。だから家族の絆を交えつつ自分のエッセイを世に送りたかったらしいよ。」
「えっ?映画監督・・・ありがとうございました。」
ベンジャミンが戻ってきて聞かされた話に私は驚愕した。