第8章 夢見る少女は揺れ動く
「パパが映画監督ですって?タイトルは・・・夢見る少女は揺れ動くか。でもパパが映画監督だとすると会うのが難しくなってきたわ。リスクも高くなるし・・・。」
「確かにエミリーの言う通りだ。でも会いたかったんだろう?だったら会うといいさ。映画監督か・・・それでエミリーの父親はどこに住んでるって?」
ジャックがベンジャミンに不思議そうに聞いた。
「やべっ、そこまで聞いてなかった・・・いやまてよ?Wikipediaに載ってるんじゃないか?」
「ベンジャミンの言う通りよ。ネットで調べてみましょう。」
私達は車の中に戻ってスマホで調べることにした。
するとパパの名前が出てきてWikipediaに載っていたのだ。どうやら講演会を開いた翌年に映画監督としてデビューしたらしく様々な映画を撮り賞をもらっていたようだ。
現在はどこに住んでいるかまではわからなかった。それもそのはず現在のプライベートなことは載っていないのがWikipediaなのだ。
「ちょっとがっかりだけど元気そうね。」
久し振りのパパの顔を初めて見た。しわは増えているけれど明るくて元気そうで優しそうだった。
なんだか幼少期から児童期のことを思い出す。パパはいつだって優しかった。私が落ち込んでいるときもいつも励ましてくれた。母親の虐待の注意をしてくれたのもパパだった。
裁判では母親が細工をしたため親権を取られてしまったけれどそれでも大好きなパパだった。
私はリスクがあることも承知で会ってみたい思いが強くなっていった。
来る日も来る日もパパを探し続けた。
「絶対に会いたい!私はここにいるんだよって教えてあげたい。」
ワクワクとドキドキで高鳴る胸。いつぶりだろうか?
私の思いに応えるようにメンバーも尽力してくれて嬉しかった。