第6章 あれから時が経ってー
「それより急に何しに来たんだよ?」
「会いたくなったから。」
兄の言葉にエミリーは泣きそうな顔をこらえって言った。
「ねえ、お父さんはどこにいるか知ってる?」
「実は半年に一回会いに来てくれたんだけど、エミリーがいなくなったって言ったらすごく残念そうだったよ。家出したんじゃないかって言ってた。母さんはああ言ってたけど父さんは警察に被害届けだしてくれたみたい。でもアメリカ中どこ探してもいないからさ。それから父さんは段々会いに来てくれなくなったんだ。だから今は居場所はわからない。」
兄は残念そうに言った。
「そう、ありがとう。それじゃあ私行くわね。お兄ちゃんも元気で。」
「エミリーもな。事情はわかんねーけど元気にやれよ。」
エミリーは兄と抱きあって別れた。
「ベンジャミン行きましょう。」
「おう!」
エミリーが去って行く後ろを兄は見ていた。
「ベンジャミン?誰だあいつ?」
ベンジャミンの姿はちらっとしか見えなかったが兄は少し気になっていた。