第6章 あれから時が経ってー
あれから随分と時は経った。エミリーは16歳になっていた。それまでも数々の極悪な事件を起こしたが色んな国を転々として逃げていたのでいつしかエミリーはジャック達と共に国際指名手配の紙が貼られていた。
小学校もろくに通わず、中学も高校も行っていない彼女には勉学という知識はない。あるのはずる賢さと悪という知識だけ。すっかり身長も伸びて髪も伸びた。体もぐんぐん成長し美少女から美女へ変貌を遂げた彼女は自信に満ち溢れていた。
ノアは22歳となりすっかり大人びていた。エミリーとは打ち解けノアも彼女をマフィアの一員と受け入れるようになった。
そんなノアがエミリーと打ち解けたのはエミリーが捕まり檻に入れられた時だ。ジャック達とと共に助け出すことに成功し、そこから2人の仲は打ち解けていった。あんなにエミリーを受け入れられなかったノアがエミリーを仲間として認めたのだ。これにはジャックも"あいつは大人になったんだな"とぽつり呟いていた。
残骸が散らばっている道をひたすら歩いていく。エミリーの片手には銃が握りしめられている。
「怖いものなんてないわ。」
エミリーはこの9年間で沢山のことを得た。仲間と認められたことが嬉しかった。
「私の超能力は活かされているのよ。ここで!」
エミリーは皮肉たっぷりにそう言うと残骸を足で蹴った。
「おーい!エミリー。」
そこにジャックがやって来た。
「次の国へ移るぞ!」
「また移るの?今度はどこへ?」
「アメリカだ。ここにはもういることはできない。」
ジャックは必死に訴えた。
「アフリカにでもブラジルにでも行けばいい。」
エミリーは言葉を吐き捨てた。
「そんなことをしたって無駄だ。悪い奴らはきっと追いかけてくる。」
ジャックはエミリーの腕を掴んだ。
「でもアメリカなんて警備も厳しいからすぐに見つかるわよ。」
エミリーは疑いの目を向けた。
「でも俺らはアメリカではまだ騒ぎは起こしてないはずだ。とにかく急ごう。」
ジャックはエミリーの手を引き仲間と共に空港へと急いだ。
★★★
キャリーケースを手に変装を済ませて空港内に入る。偽造パスポートは難なくクリアして飛行機に乗る所だった。
「あの人誰かしら?」
エミリーは飛行機に乗る途中で振り返った。見たことがあると思ったからだ。
「あの人エミリーの知り合い?」
メイソンが聞いた。
「いいえ。」